4月27日 フェイクニュース「3」

朝日新聞2019年4月24日夕刊7面:「陰謀論」不安な心に宿る 増え行くニュースとともに米国社会の一部にはびこるものに「陰謀論」がある。「ディープステート(影の政府)が世界を裏で支配している」などといった荒唐無稽な内容もその一つだ。すべての人がまともに受け取っているとは到底思えない。だが、まとこしやかな「陰謀論」に言及した本がベストセラーになったり、過激な発言を繰り返すテレビキャスターらが絶大な人気を集めたりするのはなぜだろう。その謎を解こうと、米国マサチューセッツ州メドフォードにあるタフツ大学を訪ねた。「ビジネスとしてのメディア」というテーマで、全米に広がるケーブルテレビやラジオのトーク番組、政治的ブログという三つの媒体を題材に、カリスマ性のあるキャスターらが髙い視聴率で収益を上げる実態やその仕組みを研究してきたのが、同大教授で政治学者のジェフリー・ベリー(71)だ。トランプ米大統領誕生以前の2014年、ベリーは「THE OUT RAGEINDUSTRY」と題した研究書を同僚の社会学者と共に6年がかりでまとめた。ベリーや同書によると、米国ではケーブルテレビの登場以来、「視聴者の怒りに火をつける」ような過激なトークが売りキャスターがいる番組が人気を集め、FOXケーブルでは12年の時点でニューズ・コーポレーション全体の利益の6割以上を稼ぎ出すまでになったとされる。
この傾向はトランプ大統領誕生で拍車がかかり、「陰謀論」が勢いを増す中「ものすごいドル箱になった」という。「英語には『インフォテインメイント』という造語があります。政治の分野に娯楽要素を持ち込み、視聴者を楽しませながら、過激な言葉で政治の話をする手法が受けている」とベリーは説明する。ラジオを舞台にしたトーク番組も人気で、パーソナリティーが語りかける内容は全米ネットワークを通じて多くの局に届けられ、1千万人以上のリスナーを獲得。
人気パーソナリティーはリスナーをさらに増やすために自らのウェブサイトも活用。リンクをクリックすると、自分の最新本やマグカップ、ステッカーなどが購入できる仕組みを整えるなど、複合的に稼ぐ仕組みも出来上がった。ベリーは「ラジオの過激な番組は右派勢力の牙城で、年々影響力を強めている」と指摘する。「マスコミでは報道されない真実」。言い方で紹介される「陰謀論」やフェイクニュースは不安や不満を持つ人々の心に宿り拡散する。信じる人は一部としても、伝播の度合いはすさまじい。ベリーは警鐘を鳴らす。「何しろキャスターらが発信する過激なストーリーは、ネットを通じて光のような速さで全米中に広まってしまう。メディアは後ろから必死にファクトチェックをするけど、『あれは事実ではなかった』という記事が出るのは2日後。その間に『トンデモ発言』が『事実』として人々の間に広がり、真実がそれを追いかけようとしても到底追いつかないのです」 =敬称略 (松本一弥)

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