4月26日 原発のない国へ 福島からの風

東京新聞2018年4月21日2面:「発電と農業」試み着々 飯館電力 ブランド牛復活へ 東京電力福島第一原発事故による放射能汚染の被害を受けた福島県飯館村で、太陽光発電と農業を同時に行う「ソーラーシェアリング」によって地域の復興に取り組んでいるのが発電会社「飯館電力」だ。社長の小林稔さん(65)は4月上旬、東日本大震災後、自宅の牛舎に初めて黒毛和牛の若牛を迎い入れた。「飯館牛」の和牛ブランド復活を目指すと同時に本格的なソーラーシェアを確立し、農業と発電産業による雇用創出を目指す。(池尾伸一)
太陽子発電の隣に新築したばかりの牛舎。小林さんに縄を引かれ、若い黒毛和牛が次々とトラックから下りてきた。県内の市場で競り落とした四頭だ。「いい牛が手に入ってよかった。立派な飯館牛に育ててみせるよ」。小林さんは緊張気味だ。飯館村は震災前、飯館ブランドの和牛の名産地として知られた。だが放射能汚染で村民全員が避難。昨年春に避難指示が解かれたが6千人の住民のうち、600人しか村に戻ってきてない。小林さんらの飯館電力は、放置された農地を借りて小規模な太陽光発電所を次々と建設。村民に収入をもたらしている。
しかし、かつて二百戸以上の育牛農家がひしめいた村の基幹産業の畜産は、ほぼ壊滅状態にある。震災前は肥育農家だった小林さんも、拠点は宮城県の知人のもとに移していた。こうした中、小林さんは率先して村で牛を育てることで、和牛産業の復活につなげる決断をした。一頭の体重は300㌔。「これが20カ月で600㌔以上になるんだ」と小林さん。神経をとがらせているが放射能の影響だ。村内は除染が完了しているが、エサは風評の影響を考慮し、村外で買ってきた牧草を食べさせている。しかし、いずれは牛舎の隣の太陽光パネルの下で育つ牧草を食べさせる予定だ。「牛舎の空調や暖房も太陽光発電で賄いたい」という。ソーラーシェアで農業と発電による売電の二つの収入が入るモデルを示せば、農業収入だけでは厳しい被災地の農業に、新しい姿を示すことができると考えるためだ。
「飯館村を巡る環境は厳しく、何をやっても無駄だという人もいる。しかしオレはそうは思わないんだな」。小林さんは自らに言い聞かせるように語った。
飯館電力 農地が放射能で汚染され、農業をすることが難しくなった飯館村の復興に役立てようと、「和牛育成ひと筋」だった小林稔さんが主導、村民も出資して2014年に設立した電力会社。農家から借りた土地の上に太陽光パネルを設置し発電している。パネルの下では牧草などを育て収入を得る「ソーラーシェアリング方式」を採用。村内に発電所は31カ所ある。

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