4月26日 フェイクニュース「2」

朝日新聞2019年4月23日夕刊7面:ヘイトと結びつくウソ ネット空間にはフェイクニュースがはびこっているだけでなく、差別や憎悪をあおる過激なヘイト表現も横行している。「フェイク」と「ヘイト」が結びつき、日々肥大化する現実。こうした現象にいかに立ち向かうべきか。「フェイク」と「ヘイト」双方を見据えた専門家に意見を聞こうと、米国マサチューセッツ州ボストン近郊にあるハーバード大学を訪ねた。同大ショレンスタイン・センター所長のニッコ・ミリ(41)は「過去20年間、ジャーナリズムの質は低下し、ジャーナリストの数も激減した。この深刻な事態の発信源を突き止めようとする過程で、フェイクニュースがもたらす問題にたどり着きました」と話す。政治学とコンピューターサイエンスを専攻していミリがこの分野に関心を持ったのは、「バラク・オバマはイスラム教だ」といううわさが米国社会に広まり、それを多くの人々が信じる様子を目の当たりにしたのがきっかけ。
「こんなデマが信用されるのであれば、もうどんなウソでもまかり通ってしまう」と恐怖心を感じた。「フェイクニュースとヘイトスピーチの間には非常に密接な関係がある」とミリは強調する。「感情には強く訴えかける最近のヘイト表情は本当にひどいものです。こうしたヘイトスピーチを止めるためには、言論の自由を保障する米国憲法修正第1条すら変える必要があるのではないか。そう思わざるをえないほどの事態に私たちは直面しているのです」
ミリの同僚で、テクノロジーと社会変化について調査するプログラムのディレクターをしているのがジョーン・ドノバンだ。いま調べているのは、SNSや動画配信サイトを駆使しつつ、過激な人種差別的表現を盛り込んだメッセージを拡散させて自分たちの運動を推し進めようとしているナショナリストたちの動向だ。
ナショナリストの膨大な情報は、ニューヨークにいる15人のスタッフやドノバンの周囲の人々を軸に、多くの仲間のネットワークの力を総結集して徹底的に調べている。このため「ものすごい時間と労力がかかっている」という。「過去5年ほどのナショナリストたちの動きを観察してみると、一つの行動パターンがはっきり見えてきました」とドノバン。過激なヘイト表現を大量に盛り込んだフェイクニュースや陰謀論をでっちあげたナショナリストたちは、最初は「市場調査」のようにいくつかの「ネタ」をネット上に出して人々の反応をチェック。「これはウケがいい」と思ったら、今度はそれを自分たちのブログに載せ。「もっといけるぞ」と判断したら、さらに動画配信サイトや地上波のテレビなどを通じて大量拡散させているという。ドノバンは警告する。
「大きな恐れと不安の中に放り込まれた時、人々は自分の感情に強く訴えかけてくるものについ飛びついてしまう。でも、その行為こそがヘイトを助長させることにつながっていくのです」 =敬称略 (松本一弥)

 

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