4月25日 サザエさんをさがして

朝日新聞2018年4月21日be3面:洗濯のり ゆるふわ時代に意外な活躍 サザエさん、どれだけ選択のりを使ったのだろう。直立する浴衣とステテコ。身にまとったら、ごわごわと肌にこすれて痛かったのでは。でも波平さんのことだから、「うむ、これくらいしっかり利いている方が、気持ちに張りが出る」なんて負け惜しみを言っていたかもしれない。「服をパリッと硬く仕上げたいニーズはほとんどなくなってきています」と、家庭用のり剤「キーピング」を販売する花王ファブリックケア事業グループの池辺順子・ブランドマネジャーは話す。
キーピングは1966(昭和41)年に発売されたロングセラーのブランド。現在は洗濯機用の球液タイプとアイロン時にスプレーするタイプがあるが、市場は縮小傾向が続いている。同社の調査によると、洗濯機用のりの使用率は全体で数%。それも60代以上に多く、40代以下ではほとんど使われていないという。
シワ無くピシリとさせたい筆頭格といえばワイシャツ。しかし家でアイロンをかけずともクリーニングサービスはあるし、しわになりにくい形も崩れにくい形態安定の商品が増えた。何より、「スーツにスニーカーで通勤しよう」と政府が提唱するご時世。ビジネスシーンでも服装の自由化が進み、のりの利いた折り目正しさが求められる機会は、めっきりと減りつつある。
代わって好まれるのは、軟らかくふんわりとした着心地。柔軟剤が重用されるようになった。以前は肌着やタオルに使う程度だったものが、この10年で、全ての衣類に毎日使うほど使用頻度が上がっている池辺さんは言う。
もはや軟らかくするのは当たり前。柔軟剤はプラスαの機能が重視される。防臭・消臭効果、洗濯じわの軽減も。まるで香水のように香りのバリエーションは広がる。いま開発で力を注いでいるのは、肌の快適さを保つための汗の吸収コントロールだそう。「心地よさの方向性は変化しましたが、日本人が衣類の仕上がりに強いこだわりを持つという点では変わっていないと感じています」ゆるふわな時代、洗濯のりの生きる場はあるのか。さらなる情報を求めてグーグルで検索を続けていたら、「洗濯のり、スライム」の語が選択肢に現れてきた。何、これ。スライムはネバネバしたゲル状のおもちゃ。それを洗濯のりで作る実験工作が各地で行われているらしい。
科学の楽しみや不思議を発見できる実験の開発を手がけるNPO法人「ガリレオ工房」の理事長、滝川洋二さん(69)に話を聞きに行った。「科学イベントで行列ができるほど、大変人気がある定番の実験です」と言う。
主な材料は、ポリビニルアルコール(PVA)が入っている洗濯のりと、薬局などで売っているホウ砂。水で薄めた洗濯のりをホウ砂の水溶液と混ぜる。あっという間に変化していく面白さとスライムの手触りが、子どもたちに好まれるのだそう。材料がどこでも簡単に手に入るも、メリットだ。
近所のドラッグストア―で洗濯のりを買い、試してみた。目分量で合わせたせいか、ちょっと固めのできあがり。粘るスライムをグニグニと手でもみつつ、考えた。沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり。たとえ時代の流れから外れててしまっても、意外に活路は開けるものなのだなあ・・。(大村美香)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

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