4月24日 年金いつから受給?

朝日新聞2019年4月21日21面:損得より生活設計を見極める 開始時期で月額変化◇「繰り上げ」は特に慎重に 公的年金は、いつから受け取り始めるのかを一定の範囲で選ぶことができます。ただ、早めても遅らせても、それぞれ一長一短があるので注意が必要です。「人生10年時代」を踏まえて、後悔しない受給開始のタイミングを選びましょう。公的年金は、原則として65歳から受給できる。ただ、60~70歳の間なら自由に受給開始の年齢を決められる。65歳より早めるのが「繰り上げ受給」、遅らせるのが「繰り下げ受給」だ。繰り上げや繰り下げをすると、月々の年金額が変わる。65歳からの年金額を基準に、ひと月早めるごとに0.5%ずつ減額される。最もは早い60歳から受給すると基準額より30%減り、最も遅い70歳から受給すると42%増える計算だ。厚生労働省によると、平均余命まで生きた時に受給総額が同じようになるように、増減率が設定されているという。
では、受け取る総額は、そう変わってくるのだろう。平均的な収入(賞与を含めた平均月収が約42万8千円)で40年間働いた会社員のケースで考えてみよう。この場合、65歳から受給できる基礎年金と厚生年金の合計は、月約15万6千円(2019年)だ。60歳に繰り上げると、年金月額は約10万9千円になる。早くもらえるが、受け取る年金の総額は77歳の手前で、65歳から受給した場合に逆転される。一方、70歳から繰り下げれば、年金月額は約22万2千円になる。もらい始めるのは遅いが、受け取る年金の総額は82歳の手前で、65歳から受給した場合を逆転して多くなる。
どちらも、いったん逆転した後は、後から受給を始めた方が年金月額が多いぶん、総額の差は開いていく一方になる。仮に90歳まで生きた場合、60歳から受給したケースでは、70歳から受給したケースに比べて、年金総額は1400万円近く少ないことになる。国民年金のデータで実際の利用状況をみると、16年末時点で70歳の人のうち、繰り上げ受給を使用した人は20.5%いた。一方、繰り下げ利用した人は1.4%にとどまっている。社会保険労務士のファイナンシャルプランナーの小野猛さんは、「早く年金をもらえるからと、安易に繰り上げを選ぶのは危険。いったん受給を始めると後から変更はできず、減額は一生続くことにるので、慎重に考えるべきです」と注意を呼びかける。一方、繰り上げ受給には、月額の増減や受け取る年金の総額以外にも、れそぞれ注意すべき点がある。さまざまな制度のお金が、受け取れなくなる可能性もあるからだ。まずは繰り上げ受給の場合、障害をおった時に支給される障害基礎年金が受け取れなくなるケースが出てくる。受給開始前のけがなどが重症化して障害状態になったとしても、繰り上げていると受け取れない。
配偶者が亡くなり遺族厚生年金を受け取れるようになっても、65歳までは自分の年金とは一緒に受け取れないため、どちらかを選ぶ必要がある。より額の多い遺族年金を選んだ場合、繰り上げた年金の支給は止まるが、いった繰り上げたことで減額は確定しているため、結局65歳から受け取るのに減額されていることになる。また、夫が年金を受給し始める前に亡くなった場合に一定の条件を満たす妻が60~64歳に受け取れるはずの寡婦年金も、妻が自分の年金を繰り上げて受給してと、もらえなくなってしまう。また国民年金には、保険料を一部納付しなかったり免除期間が会ったりして年金を満額受給できない人が、あとから保険料を納めて年金額を増やせる「任意加入」や「追納」の制度があるが、いったん繰り上げ受給すると、この任意加入や追納ができなくなる。小野さんは「繰り上げはデメリットが多く、将来、取り返しがつかないことにもなりかねない。無理して目の前の生活を犠牲にする必要はないが、ゆとりあるなら避けた方がいい」と話す。
一方、繰り下げ受給を選ぶ場合の注意点は何か。小野さんは「最大のデメリットは、加給年金が支給されないことです」と話す。加給年金とは、厚生年金における配偶者手当のようなもの。20年以上の加入者が65歳になるまで、厚生年金に加算される。本体の厚生年金の受給開始を繰り下げれば、加給年金もセットで受け取れなくなる。加給年金の額は年39万円ほど。ただ、工夫の余地もあるといい「厚生年金は65歳から受給して、基礎年金だけ繰り下げれば、加給年金を受け取りながら基礎年金を増額することもできる」という。また、繰り下げによって年金額が増えれば、税や社会保険料の負担も増えるため、手取り額は額面ほど増えない。特に、本来の年金額なら非課税など減免を受けられる人は、繰り下げによる増額で減免が外れ、逆に手取りが減る恐れもあるので注意が必要だ。小野さんは言う。「公的年金は、長生きしても生活に困らないように備える社会保険。早くもらわないと損ねる、などと目先の損得で受給を急がず、自分の老後の生活設計を見極めてから判断するべきです」(中村靖三郎)

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