4月24日 オトナになった女子たちへ 伊藤理佐

朝日新聞2018年4月20日29面:ムネアテに胸騒ぎ 「ムネアテ」を見るとさみしい。いや、ちょっとまて、わたし。もう「ムネアテ」って絶対、絶対、言わない。これは「とっくり」と同じだ。ネット様で調べたら「オーバーオール」画像が。そうだ! が、もうちょっとまってくれ、自分。もっとシャレた名前だった気が・・。ほら、やっぱり! 今は「サロペット」「オールインワン」だってさ。今までは「とっくり」→「ハイネック」の階段を一段落ちてればよかったのが、二段、三段落ちの時代に突入したようだ。遠くまで来た・・・。
「ムネアテ」だった時代は小学生。お気に入りだった。ムネアテ部分のポケットに大事なものを入れるクセがあった。一度目は、焼き芋を入れていた。学校の焼きイモ大会だった。トイレにいった。ギリギリまでガマンしているのが小学生。和式のドッポン時代だった。イモはストーンと遠くに落ちていった。友達にも言えなかった。食べ終わったフリをした。二度目は、親戚の家だった。小学生1人で泊まりに行くという大イベントの日、ムネアテだった。イベントの日にムネアテ着るクセがあったようだ。母から「おばあちゃんに渡してね」
忘れないでね、と、3240円の入った茶封筒をムネアテのポケットに入れていた。子供には大金だった。小銭が入っているのを覚えているのは、落ちた時に「チャリーン」っていったから。親戚の家も和式のドッポン時代だった。お金もストーンと遠くに落ちていった。言えなくて何カ月もたったあと、母の大目玉が。何かを立て替えてもらっていた母。すまん。
二度あることは三度ある。でも三度目なかったな・・・と、なぜ、今さみしくなっているのかというと、洋服の整理をしていたらムネアテができてきたのである。2年くらい前にサロペットという名で買ったヤツだ。布地がジーンズじゃなくて油断した。お腹冷えなくていい、とか言って。次に何を落とすんだ? 焼き芋より、お金より大事なもの? そんなモノある? さ、さみしい。 (漫画家)

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