4月23日 「妊活」男性にも脚光

日本経済新聞2019年4月20日夕刊1面:不妊の半数で原因 スマホ検査キットも 専用レンズで簡単診断 不妊治療に男性が参加するケースが増えてきた。従来は女性が治療するものというイメージが強かったが、世界保健機構(WHO)の報告によると、不妊の原因の半数近くは男性にあるという。男性側から不妊治療にかかる費用や時間を抑えられるとの認識が広がっており、治療を助けるための男性向け検査やサービスも充実してきた。
治療抵抗根強く 「まさか自分が原因だった」。都内に勤める会社員Aさん(40)は、長年子供できなかったことから3年前に都内の不妊治療クリニックを夫婦で受診した。判明したのは男性側に原因があったという事実。精子の量が少ないことと、精子の形に異常があった。何度かクリニックに通院し、人工授精に成功。今は長男を授かり、家族3人の生活を楽しむ。「自分一人ではクリニックに行けなかった。男性にとって不妊治療への心理的なハードルは高い」と振り返る。夫婦とも健康だが子供ができない。そう思っても男性側が自発的に不妊外来を受診するケースは少ない。Aさんは「もっと早く受診すればよかった。不妊原因は女性にあると思い込んでいる人は多い」と話す。2017年のWHOの報告によると不妊のうち男性に原因があるのは24%、男女両方にあるのは24%。合計で48%は男性に原因があるとしている。早期に男性側の原因を特定し治療や改善を進めれば、治療にかかる費用も低減できる。
受診の契機に 「自分のスマートフォン(スマホ)で精子を調べることができます」。リクルートライフスタイル(東京・千代田)は、スマホのカメラで精子の状況を確認できる検査キット「シーム」を開発した。専用アプリをダウンロードし、検査キットの付属レンズを装着。レンズ上に精液を1滴程度垂らし、約1~2分間動画を撮影すると、精子の数と運動率が測定できる。
WHOの公表値と比較し、不妊治療を受けた方がようかどうかの判断材料にしてもらう。インターネットで検査キットを買えるほか、マツモトキヨシホールディングスやココカラファインの店頭でも販売するようになった。埼玉県に住む30代男性は「シーム」を使って検査したところ、結果が思わしなく、産婦人科の受診に踏み切った。男性は「検査を受けたことが夫婦一緒に受診するきっかけとなった」と話す。さらに踏み込んた検査キットも登場した。郵送検査事業を手がけるスタートアップのダンテ(東京・港)は精子の数や運動率だけでなく、ホルモン量なども調べるサービスを始めた。自宅で精液を採取し郵送すると3週間で分析する。結果はパソコンやスマホの個人㌻で確認できる。同社は検査が生活習慣の見直しや医療機関への受診につながると期待する。病院などで使える技術開発も始まった。オリンパスは3月、顕微鏡で精子を解析する際に人工知能(AI)を活用するプログラムを開発すると発表した。
治療の助成、女性並みに 日本は不妊治療の件数が世界で最も多い。日本産科婦人科学会によると、2016年の治療件数は45万件弱と10年前の3.2倍に増えた。ただ、体外受精などの処置には健康保険は適用されない。1回の治療は30万~40万円で、1児あたり約197万円の費用がかかる。費用がかさむ要因の一つは、男性側に原因があると気づかずに女性だけが治療を続けるケースだ。男性不妊を専門とする横浜市立大学の湯村寧准教授は「女性の不妊治療の件数は横ばいだが、男性の治療は増えている」と話す。同大学付属市民総合医療センターでは3年前と比べ、男性の受診者は33%増の240人と増える傾向にある。政府も19年度から男性向けの不妊治療の助成金を女性と同じ水準まで拡充するとしている。クラウド会計ソフトのfreee(フリー、東京・品川)は今年から福利厚生の一環として精子検査キットの購入を補助するなど、男性不妊の対策に乗り出す企業も出始めた。(松冨千紘、高田倫志)

 

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る