4月22日 サザエさんをさがして 国会の予算委員会

朝日新聞2019年4月20日be3面:野党アピール「劇場型」 新聞記者のノリスケさんも、一本とられた、いったところか。まさかカツオたちの遊びが、「国会の予算委員会ごっこ」とは思わなかったようだ。漫画掲載直前、1958(昭和33)年2月上旬の新聞を見ると、1面に「衆院の予算審議 初日から質疑活発」「衆院予算委、早くも波乱 南ベトナム賠償で 政府答弁に不満 社党、一せいに退場」といった見出しが並ぶ。昭和30年代は、ちょうど白黒テレビが家庭に普及し出したころ。NHKは53(昭和28)年6月、衆院予算委員会のテレビ中継を始めた。カツオたちもそれを見ていたのかもしれない。
予算委といえば、掲載の約5年前の53年2月、大きな「事件」があった。衆院予算委で吉田茂首相が、右派社会党の西村栄一議員との質疑の際、「バカヤロー」と発言。2週間後に内閣不信任案が可決、衆院が解散された。世に言う「バカヤロー解散」だ。記者(52)は、76年、衆院予算委でのロッキード事件の証人喚問で小佐野賢治・国際興業社主が「記憶はございません」を繰り返したシーンが記憶に残っている。そもそも予算委員会とは? 衆参院の常任員会の一つで、通常国会前半の1~3月に開かれるのが一般的だ。文字通り所管事項は「予算」だが、「政治とカネ」の問題など政権スキャンダルが取り上げられることも多い。全閣僚が出席しテレビ中継されることも多く、野党にとっては、存在をアピールできる場である。「国会の花形」と言われるゆえんだ。
現職の議員に聞いてみよう。重徳和彦衆院議員(48)=無所属=は、16年の予算委で食品表示について質問した。5分ちょっとの質疑時間だったが、徹夜でシミュレーションをして本番に備えたという。「予算委で質問に立つと、党派だけでなく国民を背負っている、という感覚が強くなる」海外の予算委員会についても知りたくなった。米国連邦議会の上院予算委補佐官を約10年務めた後、日本で衆院議員(民主党)になった中林美恵子・早稲田大社会科総合学術院教授(58)に話を聞いた。「日本の場合、政府の予算案が予算委で修正されることは、ほとんどないが、米国では、各議員が次々と修正提案をしていく」と教えてくれた。日本のようにパフォーマンスを重視した「劇場型議会」に対し、米国は実際に予算を作っていくため、「実務型議会」と呼ばれるのだという。
「日本では政府が予算編成権を持っているが、米国では議会に編成権があり、議員個人に修正権がある。それを支えるのは、上下両院で1万人を超える議会スタッフたちだ」と中林さん。議院内閣制と大統領制という違いがあるが、「日本でも、議員が党派を超えて、予算案の修正をできるようにしてはどうか」と提案する。 いろいろ書いてきたが、やはり現場を見ないと始まらない。19年度予算案の締めくくり質疑と採決が行われた3月27日の参院予算委を見た。野党は沖縄・辺野古沖への土砂投入問題などを切り込む。首相や防衛相らの答弁に疑問があるとして、理事たちが委員長席に集まる。衆院での審議から、いわゆる「統計問題」で政府を攻め続けたが、結局与党などの賛成多数で予算案は通った。約60年前の国会審議がどうであったかは、当時の報道で知るぐらいだ。ただ、最近の国会を見ていると幻滅することが多い。子どもたちが「予算委員会ごっこをしたい」と思える政治を、少しでも取り戻してほしい。(佐藤陽)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る