4月22日 「翔んで埼玉」ヒット自虐は効果抜群? 

朝日新聞2019年4月19日37面:「逆説的だが好機」 ダサイタマにクサイタマ。埼玉をおとしめる言葉が繰り返される映画「翔んで埼玉」が人気だ。怒り心頭かと思いきや、県民は、まんざらでもない様子。その真意は。「翔んで埼玉」は、埼玉をはじめ東京周辺の県が都民から「迫害」を受けている設定のコメディー。1980年代に発表された漫画が原作で最近になってSNSなどで注目を集め、二階堂ふみさんやとGACKTさんの主演で映画化された。16日までに興収約33億円。約260万人を動員した。
「埼玉県人にはそこらへんの草でも食べさせておけ!」などのセリフもあるが、先月中旬までの集計では動員の約25%は県内。さいたま市の50代女性は「埼玉の特徴を捉えていて面白かった。こういう取り上げられ方も悪くはない」。埼玉県観光課の矢内孝司主幹も「逆説的だが、埼玉への関心を高める大チャンス」と好意的だ。矢内さんは「作品を機に多くの方が足を運んでくれれば」と「自虐広告」としての効果に期待する。
島根や北海道でも 「自虐広告」でいち早く注目を浴びたのは島根県だ。2011年に発売したカレンダーで「日本で47番目に有名な県。」とうたった。最近も後を絶たず、昨年9月の北海道地震の後には、北海道音更町の十勝川温泉が「元気ないです十勝川温泉」「ヒマ過ぎちゃって、サービス向上」のキャッチフレーズと旅館従業員の笑顔を組み合わせたポスターを作った。観光協会の窪浩政事事務局次長は「元気がない時だからこそ、お客様に笑ってもらい『みんな笑顔で待っているよ』と伝えたかった」と話す。11月には前年並みの客足に戻ったという。自治体以外では、三重県志摩市のテーマパーク「志摩スペイン村」が今年、「並ばないから乗り放題」などとホームページでPR。SNSで話題になり、3月には学生の来場者が前年の倍に。担当者は「自虐を狙ったわけではないが、楽しさの紹介だけでは響かない。(客に)リアルに響くことを意識した」と話す。
「正直さに面白み」 なぜ、「自虐」は受けるのか。嶋村和恵・早大教授(広告諭)は「『一番』や『おいしい』という表現は使い古されており、誇大や自慢と思われる傾向にある」と指摘する。一方で「まずい」「ひどい」といった自虐は、「『正直で面白い』と思われる。SNSが発達したため、最初から拡散を狙って(自虐が)使われているのでは」と分析する。
日本笑い学会会長の森下伸也・関西大教授(ユーモア学)は「自虐には聞いた人に優越感を感じさせる効果がある」。優越感は「愉快になれる要素の一つ」で、その結果笑いが生じるといい、「自虐を笑ってもらえれば聞く側と感情の共有ができ、言う側も楽しくなる」。ただし内心にあるのは「自分はこのくらい笑い飛ばせるんだぞ」という「自らの力の確認」の感情だ。
「翔んで埼玉」も、実は県民が自虐しつつ、郷土愛を再確認していくストーリーだ。武内英樹監督は、「映画を見れば埼玉の魅力がわかるはず。県民も『埼玉は良いところ』と胸を張って言えるようになれば、40位台の都道府県魅力度ランキングでも上昇するのでは。20位台くらいまで」と話す。(笠原真)

 

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