4月21日 現場へ 後継ぎ「4」

朝日新聞2019年4月18日夕刊9面:ごみ回収イメージ変えたい 3月16日、千葉市。プロバスケットボールBリーグ千葉ジェッツの試合会場は満員だった。混雑する食べ物売り場に、ジェッツのロゴが入った赤いごみ箱が並んだ。「燃えるゴミはこちらですね」京葉エナジー(同市)社長の岩崎剛士(38)がファンを手早く誘導する。今シーズンから本格始動したリサイクルプロジェクト。業務と重ならない限り足を運び、ファンにごみの分別を呼びかける。2015年に廃棄物処理業を営む同社の2代目社長になると、ジェッツのスポンサーについた。1995~96年に父の豊(77)が同市や船橋市から許可を得て、事業所のごみの回収を始めたのが会社の原点。地場に生まれた新しいプロスポーツチームを盛り上げる助けになりたかった。そして、多くの人に自社とこの業界に親しみを持ってもらいたかったのだ。「我々はいわゆるごみ屋さん。古い業界で、少し怖いイメージもあるでしょう」と岩崎。「そのイメージを変えたいんです」それは。
三願の礼ならぬ「五願の礼」で迎えた「右腕」との約束でもあった。「うちに入ってくれないか」。16年冬。深夜のファミリーレストランで、岩崎はある男を口説いていた。相手は以前勤めていた高級ホテルの先輩の布川剛(42)。ホテルやアパレル業界を渡り歩く人材教育のスペシャリストだ。岩崎は、社員の育成や管理業務に加え、がんばればちゃんと評価される仕組み作りを頼みたかった。岩崎の業界は自治体発行の許可証が全ての規制産業。参入障壁は極めて高い一方、いったん許可を得れば厳しい競争にさらされる心配は少ない。だからだろうか、時間にルーズだったり、お客への対応に丁寧さが欠けたりする面が残る。元ホテルマンの岩崎には当初からそう映った。「競争原理が働かないからいつまでも成熟できないのでは」。業界を変えるには自分の会社から。社会は「人」でできている。そこを託したかった。「廃棄物業界への世間のイメージを変えよう」。布川は岩崎から5日間にわたって深夜のファミレスで訴えられ、承諾した。
17年3月。布川は入社時に、一枚のメモを岩崎に渡した。「退職願 私事 この度、一身上の都合により、年 月 日をもちまして退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。布川剛」 布川は「細かいところまで口を出し続ける。嫌になったらいつでも切ってくれ」と言った。決意表明だった。岩崎は、日付が空欄のその紙片を大切に机にしまった。布川は運営統轄本部長として、人の育成から現場の取りまとめまで、管理部門全般に目を配る。ときに息子に厳しくあたる会長の豊と岩崎の間に入り、潤滑油の働きをしてくれるのもありがたい。いま岩崎は、ジェッツの試合会場で分別回収した紙とプラスチックを、ノートとボールペンに再生する企画に忙しい。「ごみから価値をつくり出すんです」。ジェッツのオフィシャルグッズとして来シーズンにお目見えする予定だ。 =敬称略(榊原謙)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る