4月2日 未来ノート 阿部一二三

朝日新聞2018年3月25日23面:父が考えた特訓「スポーツは円運動が大事」 あの時の父の言葉を、阿部一二三は鮮明に覚えている。小1の終わりのころ。試合に負け、泣きじゃくりながら悔しがる自分に、父の浩二さん(48)が話しかけた。「強くなるために一緒にトレーニングしよっか」。二人三脚の特訓が始まった。消防士の浩二さんは柔道経験がない。それでも、日々の訓練で体を動かし、救助技術大会に選手で出場していた。体育大出身の同僚と練習メニューを考えることもあり、体の鍛え方は知っていた。
浩二さんが活用したのが、重さ3㌔のメディシンボールだった。砲丸投げのように突き出したり、真上に投げ上げてみたり。ラグビーのパスのようにボールを横に投げる動作もやった。「スポーツは円運動が大事や」。腰や腕をひねる運動を多く採り入れた。「あれが正解やったのか、今もわからない。僕自身も背負い投げをイメージしてみて、どんな動きが大事なんやろうって。試行錯誤でした」と浩二さん。近所の公園で週2.3回、柔道クラブの稽古が休みの日に2人で体を動かした。柔道一直線だった一二三だが、野球に興味を持った時期がある。柔道を習いながら少年野球チームに入った友人がいたからだ。両親は「中途半端はやめよう」と言い聞かせた。その代り、浩二さんはグラブを買い、トレーニングメニューにキャッチボールを入れた。「ナイスボール!」。
公演に響く父の声がうれしく、野球熱も満たされた。小3に上がった一二三は、柔道クラブまでの約3㌔を走って通うようになった。浩二さんは自転車で伴走して励ました。まもなく、地元の大会を一二三が制した。初めての個人戦の優勝だった。体重無差別のルールで、自分より体の大きい子にも勝った。「あの優勝で自分に力がついているなと感じたんです」。父と特訓をやるようになって、1年が過ぎていた。(波戸健一)

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