4月18日 オトナになった女子たちへ 益田ミリ

朝日新聞2018年4月13日25面:空飛ぶ前から旅気分 羽田空港に向かうときは、毎度、東京モノレールを利用している。モノレール浜松町駅から乗車。にょきにょきと上に伸びるビル群を抜ければ、次第に空が広くなってくる。今から旅に出るんだなぁ。この景色を車窓から確認し、ようやく、日常がからだから剥がれていくのだった。子供の頃、夢中になったアニメ「銀河鉄道999」がある。銀河鉄道999とは、その名のとおり宇宙旅行する汽車である。
「いつか乗ってみたい」そんな幼い日の夢を、東京モノレールは軽々と叶えてくれる。高架のおかげで、空飛ぶ記者に乗っている気分が味わえるのだった。羽田空港に到着する。モノレールも好きだが、実は、空港も好きだ。大好きだ。だから早めに行ってたのしみたい。つい先日の旅では、出発の2時間前に到着していたほどである。まずは空港のカフェで軽食。窓辺の席で飛行機の発着をながめる。流れてくるアナウンスは、いろんな場所へ行く人たちのための情報だった。
函館、青森、仙台、新潟、米子、徳島、熊本、那覇。それを聞いていると、わたしはもう大人で、どこへだって行けるのだ、という力強い気持ちが湧いてくる。軽食のあとは読書タイム。広々とした空港で読むのは、また違った味わいがある。軽食を取り、本を読み、売店をうろうろ。空港を満喫し、いよいよ飛行機に乗って目的地へ。旅を終えれば、再び羽田空港に戻ってくる。
帰りのモノレールは、進行方向、左側に座りたい。終点の浜松町に近づくと、東京タワーが見えるからである。いや、見えるというより、東京タワーがこちらを見ている感じだ。ビルとビルの間から、じーっと。心なしか、さみしそうである。わたしには、こうつぶやいているように見えてしょうがない。「モノレールに乗って、どこかにでかけたいものんだ」東京タワーに別れを告げ、モノレール浜松町駅のホームに降り立つ。人の波に流されて歩き始めると、日常が戻ってくるのだった。(イラストレーター)

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