4月16日 年金機構・業者隔たる認識

朝日新聞2018年4月11日7面:過小支給食い違う主張 本来より少ない年金が2月に支払われた人が続出した問題で、日本年金機構は10日、原因や委託のあり方を検証する第三者調査委員会(委員長・一橋大学大学院の安田隆二特任教授)を設置した。6月上旬をめどに結果を公表する。機構は委託業者によるずさんな処理が混乱を広げたと国会などで説明しているが、業者側の認識と隔たりが大きい。
年金の受給者情報を入力する作業場で一体何があったのか。機構の説明と、朝日新聞の取材に応じた委託業者のSAY企画(東京都豊島区)の切田精一社長の言い分で、最も食い違っているのは契約違反の入力作業が行われた経緯だ。両社が「扶養親族等申告書・個人番号申出書データ入力および画像化業務」の契約を結んだのは8月9日。契約書は再委託を禁止し、作業は「仕様書等」を交わして進めると定めた。契約に先立ち、機構は昨年5月に作業手順を示した「委託要領」を作成。仕様書等にあたる文書で、データは2人で手入力して確認する▽記入内容があいまいなど入力できないものは返却▽機構は納品ごとにサンプル調査をし、不具合が認められれば全件を再入力させるーなどとした。
同社も要領に沿う「運用仕様書」を昨年7月28日に機構へ提出。延べ約1400人の体制で取り組むなどとした。この運用仕様書により入札参加が認められ、結果的に単独入札で契約が決まった。だが、実際の作業は違った。受給者の氏名やマイナンバーなどを手入力するはずが、同社はデータを「氏名と読み仮名」とそれ以外に分割。前者の入力は中国の関連会社に再委託し、それ以外は同社の光学式文字読み取り装置(OCR)を使い、百数十人態勢でデータ化した。
こうした契約違反の事態を認識した時期について、機構の水島藤一郎理事長は3月30日の衆院厚生労働委員会で「10月下旬と11月上旬の現場確認で判明し、改善指示をした」と答弁。一方、切田氏は「作業開始前に機構の了解を得ていた」と反論。少人数で納期に間に合わせるため、OCRで対応すると機構に契約直後から説明していたという。加えて機構の仕様書では「業務開始前打ち合わせ」で作業体制を確認するとし、切田氏は9月28日に機構担当者と協議した際も契約違反にあたる工程を説明。10月2日から作業を始めたという。
 業者「申告書に不備」 入力ミスが多発した原因についても、「業者側の処理がずさんだった」とする機構に対し、切田氏は「受け取った申告書に大量の不備があった」と主張する。切田氏は「別の業者による審査済みの申告書のはずが不明瞭な記載などが多数あった。機構に再審査を求めたが応じてもらえなかった」と話す。同社に申告書が最初に届いたのは10月2日。同月の納品数は630万件の予定を大きく下回る約17万件だった。切田氏は作業の遅れを認識し、同月中に中国側へ再委託したと話す。データの点検については、機構側も「納品ごとに検品を行う」とする委託要領を守らず実施していなかったことを、水島理事長が3月29日の参院厚労委で明らかにしている。(佐藤啓介)

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