4月14日 老後への備え方「8」

朝日新聞2018年4月8日23面:退職金 一時金と年金に差 退職金を受け取る時に、一時金で受け取るか、年金で受け取るかを選べるのですが、どちらにするか迷っています。 会社員の退職金の受け取り方法は、「一時金のみ」、「一時金+一部を年金」、「すべて年金」などいくつかのパターンがあります。選択肢がどれだけあるかは勤務先により異なります。「年金受け取り」を選択すると、退職金の原資は年金受取期間中も、多くの場合1~2%程度で運用されます。そのため受取総額は一時金より多くなるのが一般的です。今の超低金利下では魅力的に感じるでしょう。しかし手取り額でみると、必ずしも「年金受け取り」が有利とは限りません。
手取り額は、額面の収入から税金(所得税、住民税)と社会保険料(年金生活となった後は国民健康保険料と介護保険料)を引いた額です。年金収入が増えるとこれらの負担が重くなり、手取りが目減りします。
例えば、勤務38年で退職金が2千万円の場合で、①60歳で一時金として受け取ったケースと、②60歳から10年間、年金(運用利率は2%)で受け取ったケースを比べてみます。定年後、再雇用で64歳まで年収350万円で働くと仮定します。退職金を含めた60歳から10年間の収入を「額面」と「手取り」で試算すると、額面の合計は「年金」が多くなりますが、手取りの合計は「一時金」が130万円も有利になります。
預金金利よりもはるかに高い2%の運用利率でも、年金で受け取ることで増える税金と社会保険料の負担は、運用益ではカバーできないのです。ただし、この試算はあくまで一例です。「一時金」と「年金」、どちらを選択すると有利かは、年金受け取りの場合の運用利率、年金額、居住地の自治体の国民保険や介護保険の保険料率などにより異なるので注意してください。
いずれにせよ、1年あたりの年金額が多くなるほど、税金と社会保険料の負担が重くなり、「一時金」のほうが有利になる傾向にあることは覚えておきましょう。国民健康保険料と介護保険料は、多くの自治体で毎年のように引き上げられます。将来も保険料アップは避けられないでしょう。
私は「一時金」をなるべく多く受け取ることをすすめます。「退職所得」として所得税と住民税が課されますが、勤続年数に応じた「非課税枠(退職所得控除額)」あり、その金額までは税金がかからないなど、比較的有利な計算式になっています。退職所得控除額は、勤続20年まで年40万円、それ以降は年70万円ずつ上がっていきます。例えば勤続38年なら、退職所得控除額は2060万円です。この金額までは税金がかからず、超えても超過分の半分だけが課税対象です。退職金を全額年金受け取りとすると、この非課税枠を使わずじまいになります。
「年金受け取り」を選択するなら、「全額年金」は避け、「一時金」と組み合わせるのがいいでしょう。年金の受取期間を長くすると、1年あたりの年金額が少なくなり、税金と社会保険料の負担は少なくて済むことも覚えておきましょう。 =全11回 (ファイナンシャルプランナー・深田晶恵)

 

 

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