4月13日 私大入試混乱 A判定なのに不合格次々

朝日新聞2019年4月8日22面:首都圏 合格者絞り込みデータ通用せず 首都圏の大学入試は今春、混乱が多かった。文部科学省による規制を受けて大規模私立大が合格者を絞り込んだ影響で、受験生も大学側も、これまでの経験則が通用しない事態への対応を迫られた。(増谷文生)
「学生側」 「直前の模擬試験でA判定だった生徒が次々に不合格になった。大学入試センター試験を利用した入試では、昨年なら楽に合格できる点数だった生徒も落ちてしまった」 埼玉県立の進学校で進路指導を担当する教諭は今年の入試について、こう嘆く。「滑り止め」で受けた大学も、不合格になった生徒が多かったという。原因は、文化省が2016年から始めた、大規模私大を中止とした「定員管理の厳格化」だ。地方活性化を目指し、大都市圏に大学生が集中する状況を改めるといった目的で、基準以上の入学者を受け入れると、国からの私学助成金がゼロになったり、学部新設や定員増加ができなくなったりする。これまで、入学辞退者などを見込んで合格者を多く出していた大規模私大は正規合格者数を抑え、入学者が定員に満たない場合は細かく追加合格や補欠合格を出すようになった。
東京都内の私立中高一貫校では、一般入試を受けた生徒の約13%が、直近の模試でA判定となった大学で不合格になったという。この学校の教頭は「今後は早い段階で生徒の特質を見極めて、推薦・AO入試の指導を強化する方針を決め、具体策の検討を始めた」と話す。合否がなかなか決まらないケースもあった。東京都江戸川区の会社員男性(55)の長男(19)は2月5日に拓殖大を受験し、1週間ほどして補欠合格の「候補者」となったという通知を受け取った。最後の補欠合格者が決まる3月26日まで待ち続けたが、吉報はなく、他大学に入学した。男性は「不合格は仕方ないが、息子が長い時間、期待して待たされたのが納得できない。受験生の視点がない文科省の政策に振り回された気持ちだ」と憤る。 補欠発表入学式の2日前
「大学側」 大学側も対応を迫られた。専修大では3月25日夕から夜にかけて、各学部で職員が電話をかけ続けた。この日は2回目の補欠合格発表日で、電話の向こうでは、補欠合格した受験生たち、すでに他大学への入学を決めている受験生も多く、入学の意思をみせる合格者が定員に達するまで、電話をかけ続けたという。専大は今年、昨年より約1万人多い、約5万6千人が志願した。急増の理由は、より難度が高いとされる「MARCH」(明治、青山学院、立教、中央、法政)などを第1志望としてきた受験生層が合格者絞り込みを考慮し、志望校を変えたためとみられる。一方、MARCHの各大学は、二つの新学部を開設した中央大を除いて、志願者を減らした。志願者が多いうえ、学力が髙い受験生も多くなった専大は合格ラインを引き上げた。だが、他大学に流れて入学辞退者が続出し、補欠合格も増やさざるを得なかった。専大入学センターの小川裕則次長は「今までのデータが通用しない。成績上位層は結局他大学に流れ、これまで来ていた層が合格しにくくなっている」と話す。MARCHも追加合格で対応している。青山学院大の場合、最後の補欠合格を発表したのは3月30日。国公立大の後期日程や上位私大の追加合格発表を受けて入学辞退者が出たためで、昨春より125人多い730人にのぼった。入学手続きの締め切りは4月5日だったが、入学の意思を示した受験生は1日の入学式に出席してもらい、学生証も発行したという。河合塾教育情報部の富沢弘和部長は混乱の理由として「大学の合格者数の搾り込みと、受験生の併願数増加の双方が影響しあっている」と指摘する。2年後には大学入試センター試験に代わって大学入学共通テストが始まる。富沢氏は「来年はさらに安全志向が高まり、混乱も増すだろう」と話す。

 

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