4月13日 サザエさんをさがして

朝日新聞2018年4月7日be3面:留守番電話 子どもの相づち思いながら 留守番電話を使って留守と思わせ、空き巣を現行犯逮捕ー。何やら、いぜん後を絶たない振り込め詐欺の犯人を検挙するため、現在全国で展開中の引っ掛かったふりをして犯人をおびき寄せる「だまされたふり作戦」を思わせないでない。だが、この漫画が慶されたのは、およそ半世紀前の1969(昭和44)年4月のこと。日刊工業新聞社の雑誌「電子技術」69年9月号によると、当時、電話は「大都市では3世帯に1台」まで普及していたものの、全国では「まだ5世帯に1台の普及率」。そんな時代に留守番電話があったことに、まず驚かされた。さっそくNTTに聞いてみるが、話は電電公社時代にさかのぼり、すぐにはわからない。
朝日新聞の縮刷版を操るうち、69年10月30日付夕刊の記事を見て、もう一度驚いた。商店や小さな事務所が閉店後や休日に留守電話を使う例が増えているという記事だが、冒頭で伝えるのはこんなエピソードだ。≪大阪のおもちゃ店がある留守番電話を使い始めた。引っ張りだこの人形の声を聞こうと、関西から東京まで長距離電話をかける子どもが続出し、親からの苦情もあって、設けた≫ 記事は固有名詞を伏せていたが、ピンときた人もいるだろう。
流れたのは「もしもし、わたし、リカよ」。リカちゃん電話だ。人形の発売翌年の68年10月から30年間、その声を務めた声優の杉山佳寿子さん(70)が振り返る。「親が共稼ぎで、学校から帰っても話し相手がいないため、リカちゃんに電話をかけるのが、唯一人と話せる機会だったという子どもたちもいたのでしょう」
ときは高度成長期。核家族化が進み、カギっ子が問題になっていた。留守番電話は、電話機とカセットテープの入った装置で構成され、留守中に電話がかかると、あらかじめ録音しておいたテープが自動的に回った。子どもたちからかかる「リカちゃんいますか?」の電話で、代表電話が話し中のままつながらない状態になった人形の発売元タカラ(現タカラトミー)が導入。装置には、相手の話を録音する機能はなかったが、杉山さんは「受話器の向こうで相づちを打つ子どもたちの姿を想像しながら、自然な間のとり方を心がけた」。省力化を担ったはずの留守番電話の走りには、温かみがあった。
さて、NTTみよると、67年から試用試験を重ねて広義の留守番電話といえる自動通知案内装置と呼ばれるサービスを開始するのは、70年。かかってきた電話は電話局につながるもので、代表例は「あなたのおかけになった〇〇〇の××××は番号が変わりました」。リカちゃん電話に使われた電話機にとりつける留守番電話装置は、電話機が電電公社によるレンタルを原則にしていた時代の産物で「音響機器メーカーが60年代初めに輸出向けに生産したのが始まり」(雑誌「電子技術」)。掲載作の2年後、71年5月の朝日新聞朝刊社会面は、「多忙なあなたの”有能な秘書”」の見出しで、かかってくる執筆注文を留守番電話で受けることを、すす年前から実行している作家の声を紹介している。長谷川町子さんがまだ珍しかった留守番電話を身近にとらえていたのは、担当者からの催促の電話がストレスになっていたからだろうか。(鈴木淑子)

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