4月12日 春の新聞週間 多彩な記事 感性に響く

朝日新聞2019年4月6日35面:日本新聞協会と全国の会員新聞・通信・放送社は、4月6日の「新聞をヨム日」から12日までの1週間を「春の新聞週間」としている。新生活が始まるこの時期に合わせ、各界で活躍する3人に、活字と触れ合うことの重要性や日ごろの情報収集方法、新聞に対する思いを聞いた。
着想を得て「小さな物語」 映画監督 是枝裕和さん これえだ・ひろかず 1962年東京都生まれ。早大そっ行後、テレビ制作会社を経て95年に「幻の光」で映画監督デビュー。カンヌ国際映画祭では2013年に「そして父になり」が審査員賞、18年に「万引き家族」が最高賞のパルムドールを受賞した。
新聞を手に取るようになったのは小学4年生の頃。少年野球を始めてスポーツ面を開くようになり、気に入った記事をスクラップしていた。テレビ欄も欠かさず見ていた。ホームドラマが好きな、変な子だった。大学を出てテレビの制作会社にいた1988年の夏、東京・西巣鴨で4人の兄弟が置き去りにされた事件が発覚した。母親が失踪し、子どもだけで暮らしていた。批判の矛先は逮捕された母親や長男、彼らに気づかなかった近所の人に向かった。行政を批判する時代ではなかった。悪者を探して片付けようとする風潮に強い違和感を覚えた。そんな中、一つの新聞記事が目に留まった。生き残った妹が「お兄ちゃんは優しかった」と話しているという。書いた記者にも会った。世論が子どもを断罪するのを「食い止めたい」という思いを持っていた。この子たちの時間を掘り下げてみようと考え、映画「誰も知らない」の脚本を書きあげた。
昨年公開された「万引き家族」を着想したのも新聞の記事からだった。万引きで生活する親子が釣りざおだけは売ら家に残していたから足がついて逮捕されたという。それを読んで「きっと親子で釣りをしたかったんだろうな」と思った。盗んだ釣りざおで糸を垂れる、そのシーンに向かって映画を作った。人々が国家とか国益という「大きな物語」に回収されていく中、映画監督ができるのは多様な「小さな物語」を発信し続けることで、それが文化を豊かにすると考えている。新聞にも同じことができるはずだ。読みたいのは署名記事。多様な価値観を示してほしい。
世の中を理解 会話豊かに 俳優 浜辺美波さん はまべ・みなみ 2000年石川県生まれ。11年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションニュージェネレーション賞を受賞。映画「君の膵臓(すいぞう)をたべたい」の主人公役などで注目を集め、今春はドラマ「賭ケグルイseason2」に主演。
小学生の時、母が読んでいた新聞に「東宝シンデレラ」のオーディションの情報が掲載された。それに応募して、デビューにつながったので、新聞にはとても縁を感じている。小さい頃から読書好きで、新聞を読んで難しい言葉を知ることにもワクワクした。少しの時間でも新聞を読み続けることで語彙力がつくし、世の中の動きを知ることができる。特に、故郷の石川県のニュースは気になる。2015年には北陸新幹線が開業し、外国人観光客も増えた。一方で、若い人が都会に行って過疎化が深刻な地域もある。こうした問題について、新聞を読んでいたおかげで理解が深まり、年上の人と話をすることができた。若い人はインターネットのニュースで済ませがちだと思うけど、大人と共通の話題を持つ意味でも、新聞を読んだ方がいい。
全国紙でも地元紙でも、それぞれの良さがある。全国紙では、主張が異なる社説が面白く、要約も勉強になる。地元紙には、地域のイベントの内容やスポーツの結果が詳しく掲載されていて、自分が載った記事を宝物のように保管している人もたくさんいると思う。石川県の地元紙で近況を報告するコラムを執筆している。小学生の頃から応援してくださっている地元の方が読者なので、自分にとって、とても大切な場。ドラマや映画の出演が増えてからは、新聞にインタビュー記事が掲載される機会が多くなった。自分のことを知らない読者の方に読んでもらうのは緊張するけど、反響があるととてもうれしい。これからも新聞と関わり続けていきたい。
応援を実感 喜びが湧いた プロ野球選手 根尾昂さん ねお・あきら 2000年岐阜県生まれ。大阪桐蔭高で春夏通算3度の甲子園優勝に貢献。18年のプロ野球ドラフト会議で4球団から1位指名を受け、中日ドラゴンズに入団。投手も野手もこなす二刀流。プロでは遊撃手に専念する。
大阪桐蔭高で甲子園に出場すると、活躍を取り上げた新聞が宿舎に置いてあった。毎試合の結果が載っていて、優勝したときは号外も出た。優勝すると扱いが大きくなり、応援してくれる人たちの存在を実感した。その記事を読み、改めて優勝した喜びが湧いてきたのを覚えている。普段は新聞を読む習慣はないが、地震などの災害時には読むことがあった。昨年、大阪府北部で発生した地震では、登校でバスに乗っていたときに大きく揺れて、学校に着くと公衆電話の前に生徒が並んでいた。そのときは新聞でも情報を確認した。
世の中には伝えなければいけない大事な事実があると思う。新聞は事実を全て世間に向けて発信できるので、とても影響力が強い。しかもテレビやインターネットのニュースと違い、ずっと残っていく。新聞を読めば、単純に良い悪いだけでなく、何かを感じて考えることができる。スマートフォンやテレビの画面でニュースを見るのが苦手で、本当に大事なニュースは新聞で読む。新聞なら自分の読みたい記事を探すことができるし、見出しや写真で一番伝えたいことが大きくなっていてインパクトがある。分かりやすく、頭に入りやすいのが新聞の良さだと思う。プロ入り前から取材を受ける機会が多い。しっかりと丁寧に答えることを心掛けている。プロでは結果が良くても悪くても、全部そのまま書いてもらえたらと思う。悪いことでも事実であれば自分の責任。取材を受けた新聞記事は気になるが、自分では読まない。それよりも今は自分のやるべきことに集中したい。

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