4月12日 保活の先に「上」

朝日新聞2018年4月4日30面:保育園落選 狂った人生設計 仕事や夢の新居 白紙に 認可保育園に申し込んでも入れない待機児童の問題が解消されない。激戦区の保護者は保育園を探す「保活」に多大な労力を費やすが、今春も多くの子どもが保育園に落ちた。保活の先に何が起きているのか。3回にわたって考える。
こんなはずじゃなかったー。東京都千代田区に住む公務員の女性(36)は失意のまま4月を迎えた。産休に入る一昨年秋まで西日本で働いていた。休業中は都内で働く公務員の夫(41)と同居。東京転勤の話が持ち上がり、4月に復職すると決めていた。ところが、一通の通知が人生設計を変えた。
長男(1)を預けようと申し込んだ認可保育施設は区内全17園のすべてに落選。慌てて駆けつけた区役所の窓口で「この春は厳しい」と宣言された。認可外保育園には軒並み断れた。職場に窮地を訴えると、逆に「あらゆる手を尽くしたのか」と責められた。「いつ戻れるかわらないなら待てない」と、東京転勤の話は白紙に。やむなく産休を延ばした女性は、こうぼやく。「自己責任のように言われるのが一番つらい。自分の努力ではどうにもできないのに・・」 2001年に小泉政権が「待機児童ゼロ作戦」を掲げて以降、待機児童が社会問題化。安倍政権は20年度までの「ゼロ」をめざすが、働く女性が増え施設整備がニーズの増加に追いついていない。朝日新聞が4月入園に向けた1次選考の状況を57時自体で調べたところ、東京23区では3割以上が落選。落選率が高いのは大都市圏に限らず、ワーストは福島市で約48%だった。
政令都市でワーストの約37%だった岡山市は16年春から2年続けて待機児童が全国で2番目に多い。松本紗丘子さん(31)は同市で保活を続け、昨年6月に10年間勤めた銀行を辞めた。認可保育園に落ち続け、最長の2年間まで延長した育休が切れたためだった。出産は15年6月。満1歳から預けようと、翌16年6月からずっと、第3希望まですべて埋めて申し込み続けた。落ちる度に上司から「そんなに入れないものなの?」といぶかられた。
昨年9月、夫の転勤に伴い東京都江東区へ。区役所で入園状況を聞くと「夫婦でフルタイムで働いていないとスタートラインにも立てない」と言われ、今春は申し込みもあきらめた。東京都品川区の女性(40)は出産を控えた14年秋、東京都中央区の湾岸地区に建設中だったタワーマンションを購入した。家族3人での新生活を楽しみに、納得できる物件をようやく見つけた。引っ越しを半年後に控え、当時1歳の長女の入園に向け区役所を訪れた。購入したマンション周辺の保育園へ転園できないかと相談すると、担当者から「どこでも転入者は厳しいですね」と返ってきた。中央区では当時、住居年数が長いほど選考に有利だった。近くの認可外保育園も探したが、0歳児クラスからの持ち上がりで定員が埋まり。1歳児からの入園はほぼ絶望的。キャンセル待ちの人数が膨らみ、見学すらできない。引っ越しても保育園に入れなければ、夫婦のどちらかが仕事を辞めなければならない。「マンションを売ろう」夫と相談し、そう決断するしかなかった。夢だった新居には、一度も入ることはなかった。
絶対数足りない 大和総研の是枝俊悟研究員の話 男性の賃金が伸び悩み、消費増税の負担がのしかかるなか、妻が働いて生活費を確保する世帯は少なくない。特に25~44歳の女性の正規雇用就業率が著しく伸びたのは、保育園を増やした影響が大きい。しかし、絶対数が足りない。希望者が入れるようにすることが急務だ。

 

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