4月2日 スマホという怪物「2」

朝日新聞2019年3月26日夕刊10面:「絶対にマル秘だった」 苦戦を強いられていたNTTドコモが米アップルのiPhoneをいつ導入して巻き返しに動くか。2013年春に通信業界の担当になった私は、アップルが例年秋に開く新型機の発表会が勝負どころだったと見定めた。記者会見や、その後の「ぶら下がり」はおろか、夜討ち、朝駆けでも関係者の口は堅い。確たる情報もつかぬまま8月に入った。発表会は9月上旬だと同僚が聞きつけた。10日だと特定してドコモ首脳にぶつけても「そんな日付は知らない」。取材メモには、こうした腹の探り合いが残る。「特ダネ合戦は発表前だ」と考え、後輩に「夏休みはしっかり取ろう」と伝えた。他紙に抜かれたら「その時は、その時だ」。腹をくくったつもりだったが、携帯が鳴るたびにどきりとした。
9月。ドコモ幹部は相変わらず「何も変わっていない」。だが、あらゆるつてをたどっての取材で、様々なうわさが入ってきた。例えば、「iPhoneへの対応で、通信ネットワークに手を入れている」。また、「販売店向けカタログに急きょ2機種分が追加されることになった」とも。ドコモとつながりがある人たちの話だが、記事を書けるだけの裏打ちは得られなかった。アップルは自らの世界観を重じる会社で、iPhoneの情報管理は徹底していた。直接交渉していた役員だけでなく多数の関係者が1年も前から保密契約にサインしていたという。「取材攻勢はすごかったけど、アップルがドコモの名前を発表するまでは絶対にマル秘。言ったらクビが飛んでた」と後に明かす人もいた。ドコモは通信網や端末、「iモード」などのサービスで日本の携帯市場を育てた誇り高き巨人だ。その関係者が振り返る。「アップルは破壊的といえるほどの競争力を持っていた」厳しい情報管理で行き詰った取材は丸テーブルでのランチを機に大きく動いた。(永島学)

 

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