3月9日 ゲームで体感SDGs

日経新聞2019年3月2日夕刊1面:持続可能な開発目標 企業や自治体 浸透の入り口に 貧困や気候変動など地球社会の課題解決に向けた「持続可能な開発目標」(SDGs)。感心が高まる一方、どう取り組めばいいのか分からない。そんな悩める企業や自治体が第一歩を踏み出すツールとして、体感できるゲームに着目、研修などに取り入れる動きが広がっている。ゲームを取り掛かりに次のステップへと進んだ企業もある。SDGsとは、2030年までに達成すべき国際社会の共通目標。「貧困をなくそう」「飢餓ゼロに」など17の目標と169の具体策からなる。15年に国連で採択された。「楽しい、わかりやすい」と、カードゲームを取り入れたのは、三菱地所レジデンス。2月、社員12人が研修に臨んだ。競うのは勝敗ではない。目標は「経済・環境・社会」のバランスがとれた未来」社会だ。各自に、手持ちの「資金」「時間」の札を使ってチームで未来を創造する。ゲームの途中、経済は発展したが環境破壊を招くといった「望まぬ社会」が姿を現す。参加者は個人の課題優先を軌道修正、未来を導くには協力が欠かせないことに気づく。参加した社員は「個人の目標にばかり目を奪われると、いい世界ができないことを実感した」と振り返る。
累計5万人が活用 CSR(企業の社会的責任)、ESG(環境・社会・企業統治)投資、SD」Gs。市場の選別や消費者ニーズに応えるうえで企業活動に不可欠な視点だ。同社も多様な生き物や植物を守れるマンション開発をにらむ。だが社内へ浸透させようにも「資料は多くて内容も難しい。社員の理解にも温度差がある」(研修を企画した商品企画部渡辺尚子リーダー)。手軽に知る手段はないかと、目を付けたのがゲームだ。「SDGsを規則や法律優先で考えていたが、ゲームで未来が変わることを体験できるのは大きい」と榎木秀夫執行役員は話す。ゲームを機に事業課題を再整理、ロードマップを作成、実際の業務への反映へと歩を進める。活用したゲームは一般社団法人イマコラボ(東京・千代田)が開発した。累計5万人が体験、企業関係者からの開催依頼が相次ぐ。
座学より印象残る カード、ダーツ、ボードゲーム・・。SDGs普及のためゲームは、いくつかある。開発したのはNPO法人や企業、大学など。金沢工業大学は無償で公開している。対象も企業だけでなく学校、自治体、市民と多岐にわたる。カンロが採用したのは、ばば抜き形式。「小難しくない研修を」と選んだ。社長・役員・本社の社員60人が受講。「アメを通じた健康社会づくりという本業の中でもSDGsが追求できることを確認できた」(同)という。東京農業大学はボードゲームを使った。「座学より印象に残ると考えた」(斎藤修平助手)。との声があがった。自治体もゲームを取り入れる。富山市は地方創生特化型のゲームを採用した。政府から「SDGs未来都市」のひとつに選定されるなど先進的とされるが、それだけに「政策に取り入れるには踏み込んだ議論ができる職員を増やす必要が出てきた」(市環境政策課の竹田法信主査)。体験した職員は「壮大な目標ではなく、高齢ドライバーの運転免許返納といった身近なテーマも(目標の一つ)『まちづくり』につながっているとの気づきがあった」と話す。
静岡市はダーツだ。市民を巻き込むのが狙いだ。市民祭りで1500人が矢を投げた。命中した目標について具体策などを書いてもらうという簡単なもの。体を動かすことで当事者意識が芽生えるきっかけにする。ゲームを開発したNTTデータ経営研究所は「責任感のある回答が増え、市民ニーズを正確に分析する手掛かりにもなる」(同研究所の鳥海彩シニアコンサルタント)商機を見いだす。SDGs賛同企業など300社が集まる「グルーバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」(GCNj、東京・港)の大場恒雄事務局長は、ゲームは「SDGsを自分の問題として捉える機会になる」と評価する一方、「企業は事業戦略に組み込み、実践的取り組みにレベルアップさせる必要がる」と指摘する。

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