3月31日 待機児童問題「上」

東京新聞2019年3月25日22面:保育士 東京に流出も「給料上乗せ」効果 県は懐疑的 「どこも空いていない・・」。一歳半の長女の預け先を探そうと保育園の空き状況を確認した本庄市の女性(38)は、がくぜんとした。親の介護もあり、週3日ほどの仕事を探しているが、これでは保育園には入れない。今秋から保育の無償化が始まることから「さらに激戦になりそう」と先行きに不安を覚えている。「保育園落ちた 日本死ね!!!」と題した匿名ブログが国会で取り上げられてから3年。いまだ待機児童問題は深刻で、埼玉も例外ではない。県内の昨年4月時点の待機児童は1552人で、全国で4番目の多さ。さいたま市(315人)や朝霞市(106人)など東京都内に通勤する若い世帯が多い都県境の市町に集中しているのが特徴だ。問題は、保育園の増設だけでは解決しない。県内の保育士の有効求人倍率は4.76倍(昨年11月現在)で、東京の6.44倍に次いで全国ワースト2位。公務員となる公立園と比べ、私立園での人材確保が深刻となっている。朝霞市のある園では、保育士が辞め、求人広告を出してハローワークにも登録したが、替わりが見つからないまま1年が過ぎた。子どもの受け入れ人数を減らさざるを得なかった。
最近はハローワークでなく、就職すると祝い金がもらえる仲介会社に登録する保育士が多いという。園が支払う紹介料は保育士1人当たり70万~100万円ほど。戸田市の保育園長は「法人全体で1年に1千万円は使った」と明かす。財源は、国や市が補助する園の運営費=税金だ。保育士不足には、転職の多さも影響している。県内の保育士の平均勤続年数は約7年で、離職率は14.3%に上る。
県私立保育園連盟(私保連)が昨年5月に実施した加盟園へのアンケートでは、回答した109園のうち、2016~17年度の2年間に県外への転職者があったと回答したのは48園。理由は「転居のため」が25園、「埼玉より賃金が高い」が20園と続いた。転職先は東京が31園で最も多かった。給料の原資は、国が定めた保育士の配置基準や園の立地などに基づいて決まる運営費。東京都は、独自予算で月額約3万5千円の加算があるが、埼玉県はない。厚生労働省の17年のサンプル調査では、埼玉の保育士の平均年収は約331万円で東京より65万円低かった。私保連は、保育士の他都県への流出を防ごうと県に上乗せを要望している。
一方、県は「加算の効果は一時的」だとして消極的だ。働き続けられる職場作りの目を向け、経営者セミナーや外注のアドバイザー4人を現場に派遣している。保育現場では、賃金以外にどんな課題があるのか。戸田市が18日に開いた保育士の交流会で、参加者が悩みを語り合った。「保護者に子ども同士のトラブルを説明するのが難しい」「先輩と保育の考え方が違う」。子どもとの接し方以外に悩む若手が多かった。園側でも、保育に集中できる環境づくりに努めている。三郷市の三郷ひだまり保育園では、子どものちょっとしたけがで保護者に必要以上に謝ることはしない。多田郁子園長は「子どもが遊んで転ぶのは自然なこと。保育は見守る仕事」と事前に説明しているため、苦情はないという。保育の問題に詳しい前田正子・甲南大教授は「埼玉で保育士として働き続けたいと思える労働環境が重要。園の努力に委ねるだけでなく、県が主導して長時間労働せずに育休も取れるモデル的な仕組みを作って示していくことが現実的ではないか」と話している。(浅野有紀) ◇統一地方選の前半戦となる県議選とさいたま市議選の告示(29日)が間近に迫ってた。子育てや高齢者福祉、人口減少地域などの現場を取材し、県内の課題を探った。

 

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