3月30日 廃炉の歩み挑む地元企業

朝日新聞2019年3月25日38面:福島第一 排気筒解体着手へ 東京電力福島第一原発は東日本大震災の後、爆発を3回起こした。8年が過ぎ、1.2号機の間にある排気筒(高さ約120㍍)の解体が始まる。爆発や排気(ベント)で損傷や汚染が激しい上、遠隔操作で行う難しい工事だ。第一原発が立地する福島大熊町の地元企業が挑む。昨年秋から訓練を重ね、5月にも解体に着手するのは建設会社「エイブル」。元々、第一原発から2㌔の大熊町内に本社があり、原子炉の定期点検や配管工事に携わってきた。約200人の従業員の7割ほどは福島県出身。今は県内の広野町に本社機能を移す。
今も高濃度汚染 排気筒は原子炉建屋や換気に使われるもので、第一原発には同じものが計4本ある。今回の1本は2011年3月12日に1号機の原子炉建屋が水素爆発した影響で上部を損傷。さらに炉内の圧力を下げるために実施したベントで、筒内や周辺が高濃度に汚染された。事故から約5カ月後に測定した際は機器の針が振り切れ、毎時10シーベルト以下を示した。15年の調査でも毎時2シーベルト。数時間いると死に至るレベルで、現在も容易に近づけない。破断も数カ所確認され、原子力規制委員会が「倒れると危険」と指摘し、東電は解体の検討を進めていた。東電がエイブルに工事を依頼したのは、排気筒の底部にたまった高濃度汚染水の排出に成功した実績があったからだ。
装置開発し習熟 依頼を受け、エイブルは解体装置の開発に着手した。切断方法は水圧、レーザーなど非接触の方法も検討したが、汚染水の増量や引火のリスクがあった。回転刃と決めた後も飛び散る切りくずをどうするかという問題に直面。刃を箱で覆い、吸引するなどの改良を加えていった。排気筒解体のプロジェクトリーダー佐藤哲男さん(45)は「うちは工事屋なので、ものを作るという7より、そうすればうまくいくかを考えて装置を作った」と話す。操作に習熟する必要もある。750㌧のクレーンで解体装置をつるし、高さ120㍍の排気筒を上部から輪切りにしていくイメージだ。解体装置は大型バスを改造した操作室から遠隔で操る。「チップソー(回転刃)起動します」「切断に移ります」。訓練では操作室に配置された20台ほどのミニターを見ながら、社員らがマウスを使って装置を動かしていた。どの角度からも点検できるよう、装置やその周辺にはカメラが160台取り付けられている。装置は上空でつるされており、風の影響を受ける。カメラを切り替えながら、慎重に装置を操る必要があるという。
排気筒の解体は半年を要する。第一原発ではこのほか、4月上旬に3号機の使用済み燃料プールから核燃料を取り出す作業が始まり、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)は19年度中に具体的な方法や最初に着手する号機を決め、21年から本格的に取り出す計画だ。廃炉全体の主要な工程の一つ、排気筒の解体。遠隔操作の拠点となるバスの外相には、社員の子どもたちが書いたメッセージがラッピングされていた。「きをつけてね」ー。解体計画責任者で第一工事部長の岡井勇さん(51)は「地元企業として工事を成功させ、地元のみなさんに安心してもらいたい」と話した。(石塚広志)

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