3月30日 平成経済 インタビュー「下」 オリエンタルランド社長 上西京一郎氏(61)

朝日新聞2019年3月24日4面:ディズニーリゾート投資で魅了 ー東京ディズニーリゾート(TDR)は平成とともに発展しました。「東京ディズニーリゾート(TDR)は昭和の終わり近くの1983年に開園しました。2001年には東京ディズニーシー(TDS)もオープンし、当初は年1千万人だった来園者数が、17年度には3倍の3千万人を超えています。平成は事業が大きく羽ばたいた時代でした」「80年に入社したとき、世間では『TDLの事業は失敗し、住宅地に再開発される』との予想が少なくありませんでした。ここまで成長するとは、夢にも思っていませんでした」 ーバブル崩壊はレジャー施設に逆風でしたが、なぜ成長できたのでしょうか。「ディズニーのコンテンツの魅力の高さに加えて、お客様に非日常的な空間を味わって頂けるよう、心を込めてキャスト(従業員)が接してきたことが評価されたと思います」「TDRの近くでは、88年にJR京葉線の舞浜駅が開業し、01年に首都高速湾岸線の舞浜インターチェンジができました。平成の間に全国で進んだインフラの整備も、我々を後押ししてくれました」 ー当初3900円だった1日券の価格は、今は7400円。それでも人気は続いています。「人間は同じものだといずれ飽きてしまいます。ゲストがいつ来ても新鮮味を感じられるよう、87年にはビッグサンダー・マウンテン、89年にはスター・ツアーズ、92年にはスプラッシュ・マウンテンを新設しました。開園当初は1千億円にのぼる借金がありましたが、将来に向けた投資を続けました」「当初はクリスマスぐらいだった季節のイベントは、ハロウィーン、イースターなどほぼ一年中開催するようにしました。値上げはしましたが、価値向上に見合った価格と思って頂けていると思います」
若者減少 変化にも対応 ー不況の影響は。「我々の経営は、幸い景気の波にはあまり左右されませんでした。例えば、リーマン・ショックが起きた08年度の来場者数は、前年度よりむしろ7%増えました。景気よりも、周年イベントやアトラクションの新設の方が、来場者数には影響を与えました」「もちろん、ゲストは不況で収入が減れば、遊ぶためのお金を減らすはずです。しかし、人間である以上、遊ぶお金をゼロにはできません。不況による『安・近・短』の旅行志向も追い風になり、TDRに来て頂けたのだと思います」 ー社会の高齢化で来園者に変化はありましたか。「40歳以上の来園者は、98年度は8.8%でしたが、17年度は20.1%まで上昇しました。TDSのオープンで、大人の来園者の掘り起しに成功したと思います」「TDSをつくるときのポイントの一つが、若者減少する人工動態の変化にどう対応するかでした。TDSは、家族連れをメインの顧客と考えたTDLと差別化する必要がありました。TDSはコンセプトを変え、大人のゲストを掘り起こすことを狙い、ロマンチックな町並みにし、スリルある乗り物も導入しました。アルコールも飲めるようにしました」「実は、TDSの建設に向けた米国のディズニー社との交渉では、映画をテーマにしたスタジオパークをつくることで、ほぼ決まりかけていました。土壇場で加賀見俊夫会長が『それは違う』とひっくり返し、今の形になりました。日本人と米国人とでは、映画にかける情熱が違います。間違いなく変更して成功でした」
ー今後の人口減は日本で事業を行う会社にとってマイナスです。パークの魅力を更に向上させる必要があります。昨年、開業以来最大となる2500億円を投じて、TDSの面積を2割拡張することを決め、人口減に備えます。実際に人口が減り始めた時は経営に余裕が無くなり、巨額投資を決断するのは難しいと考えました。余裕がある今のあいだに、次の時代に向けた手を打たなければならないと考えました」「これまでは外国人の集客にあまり力を入れてきませんでした。文化の違いによるトラブルが多かったためですが、近年はほとんど無くなりました。海外の方がネットでチケットを買えるようにするなど集客に力を入れ始めたところ、12年度は2.6%しかなかった来園者に占める海外から来た人の割合が、17年度は9.8%まで上がりました。インバウンドの追い風もあり、この比率はさらに高まることを想定しています」
IT技術駆使 終わりなき挑戦 ー人手不足も今後の社会の課題です。「キャストの採用は、すでにレストランの厨房や、深夜のシフトなど一部で難しくなっています。対策として業務を省力したり、地方出身の方も働きやすいよう、会社寮をつくったり、短時間勤務を可能にしたりしています」「新たに『テーマパークオペレーション社員』をつくり、22年度までに、2万人弱いるアルバイトの2割程度を正社員にすることにしました。安定した高揚を増やすことで、質の高い人材の確保を進めます」 ー今後ディズニーリゾートはどうなりますか。「次の時代には、スマートフォンや新技術の普及で、バーチャル(仮想)で楽しめる世界がどんどん広がるはずです。ただ、そうなればなるほど、逆にリアルな体験の価値が際立ってくるはずです」「私たちもIT技術を駆使して、パークアプリの充実などを進めていきますが、これまで以上に、キャストの接客能力やパークの運営の仕方が大事になります。『夢・感動・喜び・やすらぎを提供する』という企業使命は、終わり無き挑戦です。ディズニーリゾートの魔法は次の時代も解けません」 (聞き手・大日向寛文)

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