3月30日 データ異常値たばこでも 厚労省資料

東京新聞2018年3月22日28面:「加熱式規制狙い? 非現実的な実験」 このところ、省庁の文書やデータに対する信頼が揺らいでいる。厚生労働省が作成した受動喫煙対策強化を柱とする健康増進法改正案の資料にも、疑問符がつくデータがあった。急速に普及する加熱式たばこを規制する理由として提示された調査結果だが、異常値としか考えられない数字が記されていた。(大村歩)
このデータは、今月9日に閣議決定され、法案審議を待つ健康増進法改正案について、厚生労働省がホームページで公開した資料に掲載されている。これまで受動喫煙対策で問題視されてきたのは、紙巻きの場合、喫煙者に吸い込まれる主流煙よりも火点から出る副流煙だった。ただ、加熱式はほぼ出ない。そこで厚生省は国立がんセンターに委託し、副流煙と喫煙者の呼気が混ざった室内のニコチン濃度を調査した。
その結果、紙巻きで1立方㍍あたり1000~2400マイグラクロム、加熱式で同26~257マイグラクロムだったことから、厚労省は「加熱式の方が紙巻きよりも室内ニコチン濃度が低い」とした。資料にはこの数値しか書いておらず、測定条件など詳細は書いていない。しかし、この紙巻きの数値はショッキングだ。喫煙可の室内でのニコチン濃度実測データは、世界保健機関(WHO)によれば同0.3~30マイグラクロムだとされており、今回の数値は約80倍になる。しかも、かつてたばこ工場内で二人が急性ニコチン中毒死した労災事故で計測された同300~1700マイグラクロムより高い。
一体、どんな調査をしたのか。厚生省担当者によれば「高さ2.2㍍縦横80㌢の換気のない箱の中で、喫煙者1人が30分間に50回吸って吐くペースで、1時間に4本吸う」という手法で測定したという。たばこ業界関係者の1人は「加熱式でもニコチンは出ると示すために、現実にはありえない条件で測定した結果、異常値になったのでは」と話す。つまり、最初から加熱式を規制対象にしようという意図で、規制対象レベルの濃度にまで高めようと実験した結果、紙巻きが異常値になり、加熱式でも通常より高い値になった疑いが残るという。
この指摘に対し、厚労省担当者は「あくまで紙巻きと加熱式を同条件で測定・比較したもの。ただ高い数値だけを出したことで、疑問や誤解を招いたとしたら反省したい」と答えた。神奈川県の受動喫煙防止条例の制定に携わった玉巻弘光・東海大名誉教授(行政法)は「行政が政策判断するときには客観的・中立的で、外部でも検証可能なデータを示さなくてはならない。がんセンターは国の機関だが、中立ではなく、たばこ排除の立場からデータの収集分析をしている感がある。現実にはあり得ないような環境での実験データは法規制の根拠としては無理がある」と語る。
玉巻氏は受動喫煙対策の方向性自体が変節しているとも指摘する。元来は、紙巻きの主流煙よりも有害な副流煙による受動喫煙対策が必要という話だった。ところが、副流煙がごく少ない加熱式たばこが普及しだすと、主流煙に有害物質が入っているから加熱式もダメという話になった。
「喫煙者の吸気から受動喫煙するとか、喫煙室の壁や喫煙者の衣服についたたばこ由来の有害物質でも受動喫煙が起きるとか、本当に『望まない受動喫煙の防止』が狙いなのか、疑わしくなる理屈もたくさん出てきている。確かにデータとして有害物質はゼロではないが、法規制を必要とするほどなのだろうか」

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

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