3月3日てんでんこ 計画運休「10」大動脈

朝日新聞2019年2月26日3面:東海道新幹線をなぞるような予想進路。1964年の開業以来初めて踏み切る。 昨年の台風24号で計画運休をしたのは、在来線だけでない。列島の大動脈として1日45万人を運ぶ東海道新幹線も、1964年の開業以来初めての計画運休に踏み切った。9月29日午後、東京駅近くのビルの一室に、新幹線運行をつかさどるJR東海の部長らが顔をそろえた。指令担当部長の堀部克美(57)が差し出したのは「計画運休素案」。翌30日午後から「のぞみ」「ひかり」の運休を順次中止し、夕方には「こだま」を含めて完全運休するとの内容だった。
堀部の脳裏には、4日に25年ぶりという非常に強い勢力で上陸した台風21号の記憶が生々しく残っていた。山陽新幹線は計画運休したが、東海道は運転本数を減らす「間引き運転」で対応した。結局、強風で運転を止めざるを得なかった。駅間で列車が立ち往生する事態は防いだが、線路内への飛来物が相次ぎ、当日中は運転を再開できなかった。台風24号の勢力は、21号に匹敵するか、それ以上とされた。しかも21号が金記帳を中心に列島を「横断」したのに対し、24号は東海道新幹線をなぞるように列島を「縦断」するという。「新幹線は乗客を運ぶもの大切な使命だが、最優先は安全」。29日午後7時、初の計画運休に踏み切る方針が発表された。小田原駅の酒井英樹駅長(50)は構内放送などで利用客らに伝えながら思った。「箱根観光を楽しんでいる外国人客らにも知らせないと」。箱根登山鉄道にも連絡し、箱根湯本駅に新幹線運休を掲示してもらった。
翌30日、午後5時までに全列車が運転を取りやめた。和歌山県に上陸した午後8時ごろ、堀部は総合指令所に詰めていた。台風が北上するにつれて沿線の風速計が規制値を超え、二死から順に赤いランプがついていった。風雨がおさまった区間ごとに保線員らを出動させ、安全点検に取りかからせた。まるで台風と追いかけっこをしているようだった。線路への飛来物は数百件に上った。だが、10月1日の東京駅のぞみ始発の遅れは1時間余りに収まり、ダイヤは五語には正常化した。安定した輸送と安全。ときに相反する二つの使命の両立を目指す鉄道員たち。模索はこのれからも続く。(細沢礼輝) ◇「計画運休」は終わります。次回第38回シリーズ「祭人」を始めます。

 

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