3月28日 平成とは 小売り激変「8」完

朝日新聞2019年3月22日夕刊14面:消費者が求めるものは タレントの辻希美(31)が「小さな子どもがいると、買い物も大変。これだと便利ですねえ」と司会の質問に応じていた。昨年10月、都内での「楽天西友ネットスーパー」グランドオープンの記者会見の一幕である。小売店のオープンには、担当記者として何度も足を運んだが、ネット通販の「開店」は初めて。当然ながら商品は展示されていても売り場はない。商品より宅配の仕組みの説明に時間が割かれた。
2000年のそごう破綻に始まる平成の流通業界の再編は、イオンとセブン&アイ・ホールディングスの二つにほぼ集約された。ただ、再編を経て存在感を高めたのは、既存の小売業ではなく、ネット通販だった。18年の全国スーパー売上高は約13兆円だが、17年のネット通販(物販)は8.6兆円まで拡大している。この間、百貨店やスーパーもネット時代の到来を予測し、カード客の買い物履歴などのデータを集めたものの、うまく活用できていない。
フリーマーケットアプリ、メルカリの社長、小泉文明(38)の話が印象的だった。「我々は小売業という意識はない。技術者の集団であり、コミュニケーション企業」。もはや小売業という枠組みも揺らいでいる。ネット通販の巨人、米アマゾンの収益の柱もクラウドサービスである。平成の次の時代に残された課題は重い。ダイエーの中内功(故人)が悩んだ総合スーパー(GMS)改革は進んでいない。コンビニスストアの成長も鈍化している。地方や郊外の百貨店の店舗閉鎖は今後も続くだろう。ネット通販が支持されているのは、いつでもどこでも買える利便性であり、店舗を持たないコスト構造をもとにした低価格である。同じ土俵で競うのか、新たな土俵を見つけるのか。次の時代に引き継がれた問いである。 =敬称略 (編集委員・多賀谷克彦)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る