3月27日てんでんこ 電気のあした「9」壁

朝日新聞2019年3月22日3面:苦労の末にできたメガソーラー。昨秋、送電を停止せざるを得なくなった。 成長する自然エネルギーに、原子力などの旧来の電源が「壁」となってたちふさがる。福岡県はその日、穏やかに晴れ渡った。昨年10月21日の日曜日のことだ。関西以西の生協がつくった自然エネ事業者「グリーン。市民電力」の専務理事、大橋年徳(60)にとって忘れられない日になった。福岡県糸島市に保有するメガソーラー「神在太陽光発電所」が九電の出力抑制の対象となり、午前9時から午後4時まで送電を停止せざるを得なかったからだ。大橋は振り返る。「止めるのは委託する業者に頼みましたが、再起動は経費が惜しくて私が発電所に行ってスイッチを入れました」ここは8年前の東京電力福島第一原発事故の後、組合員の脱原発の思いを受けて開発した第1号のメガソーラーだった。
何から何まで初めての経験だ。事務局を担った松田節子(65)が「困難の総合デパート」と言う苦労の末、ようやく2013年9月に完成させた。以来、順調に稼働してきたのに何の補償もないまま停止となった。この1回で約15万円の減収と推計された。今後、抑制は別の発電所を含め、増えそうだ。グリーン・市民電力の代表理事、熊野千恵美(52)は心配する。「いまはまだ採算への影響は小さいですが、先が読めません」
日照に恵まれた九州。12年に自然エネの固定価格買い取り制度が始まると太陽光発電が爆発的に拡大、晴天だと最大600万㌔ワット超の発電ができるようになった。一方、秋の休日などには電力需要は800万㌔ワットを割り込む。九電が火力を絞ったり、本州側に送電したりしても電気が余るため、昨秋から自然エネの抑制が始まった。なぜ昨秋からなのか。昨夏までに九電が原発4基(計414万㌔ワット)を再稼働させたことが大きい。原発より自然エネを先に絞ることが国のルールだ。それに則しているとはいえ、自然エネの事業者には不満が募る。
長崎県中心にメガソーラーを多数展開するチョープロ(長崎県長与町)の新エネルギー事業部長、定富勉(62)は言った。「使用済み核燃料の処分地さえ決まっていない原発を使い続けて、太陽光を抑え込むとは。我々には理解できません」目先の運転コストが安い原発の再稼働で、九電は今春、値下げに攻勢に出る。
(小森敦司)

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