3月27日 ふたたび私の証あるがまゝ行く 日野原重明

朝日新聞2018年3月17日be9面:体の「老化」と心の「老い」は別物 全国の医師が集まって、様々なテーマを議論する日本医学会の総会が4月半ば、京都市で開かれました。初日には、iPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した、京大の山中伸弥教授も講演しました。本来は4年に1度の開催ですが、前回は東日本大震災のために完全な形では開けず、8年ぶりの大々的な総会となりました。私は今回、京都で二つの講演に登壇しました。一つは「生き方上手2015京都」と題した市民の方々への講演です。日本内科学会の主催で、会場となったJR京都駅に直結する「京都劇場」の利便性には驚きました。
もう一つは、医学総会での講演で、題は「日本における高齢化と真の健康社会」というものです。男女とも平均寿命は80歳を超えました。高齢化社会で問題になるのが、「平均寿命」と「自分で自分のことができる健康寿命」との差です。男性ではほぼ9年、女性では13年近く介護を受けたり、あるいは寝たきりで過ごしたりしています。この期間をいかに短くするかが、医療従事者の課題です。一概に「老い」といっても、生物学的な「老化」と、人間的な「老い」は別ものです。人間として抗しきれない老化の中で、いかに生命の意味を見いだしていくか。「土の器」とも例えられるもろい人間の身体は、ひび割れたり壊れたりもします。
それでも私たちは与えられた時間の中で、その器に何を入れていくか、模索し続けるのです。もし社会が老人を疎んじ、ポンコツ車にように見下すなら、それは真の文明社会とはいえません。必要なのは、社会がもっと交わりの中に高齢者を入れ、温かい心で包み込み、高齢者に「役割」を与えることです。私が日頃から平和の重要性を語るのは、高齢者が居場所を得て輝くためには、社会がまず、平和であることことが前提となるからです。若い世代を含め、一人ひとりが参与しなければ、本当の健康社会は日本に実現されない。私はこう強調して、講演を終えました。その後、最前列で熱心に私の話を聞いて下さっていた中山教授が、わざわざ私のところまで、感想を伝えに来て下さったことが、とてもうれしく、大変心強く思いました。
🔶2015年5月23日付を再掲しました。単行本「最期まで、あるがまま行く」(朝日新聞出版刊、税込み1188円)が発売中です。

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