3月26日てんでんこ「8」ビール

朝日新聞2019年3月21日3面:太陽光発電の収入を地域還元する。地元農産物を使うクラフトビールができた。 急成長する自然電力グループ(福岡市)の地域還元策を見ようと熊本県を訪ねた。「リュックを背負ってね。さわやかな青年だなあと。話をして、すぐに賢い人だとわかった」熊本市でビール醸造工場兼レストランを経営する鍛島悠作(36)が、自然電力の高尾康太(30)に初めて会った時の印象だ。2016年4月の熊本地震から数カ月後の夏、いきなり訪ねてきた。東大大学院で自然エネルギーの大量導入を研究していた高尾。この年に入社すると、太陽光発電所の立地に加え、地域還元の担当にもなった。
自然電力は14年3月、熊本市の北東に位置する熊本県合志市に地元企業などと出力1メガワットのメガソーラーを稼働させたい。高尾は、この電気の売り上げの一部を使う形での地域還元策を探していた。鍛島が材料や製法にこだわったクラフトビールづくりを始めると聞き、飛んできたのだった。高尾は、ビールの材料に地元農作物を使えば地域還元につながると考えた。熱心な説明に、鍛島も熊本地震からの復興への思いも込めて快諾した。高尾が用意した地元農作物リストをもとに鍛島の試作が始まった。ハバネロ、スイカ、マンゴ・・。2年間にわたる試作を経て、合志市産のハーブ「リコリス」と、熊本県天草市産のかんきつ類「晩柑」の2種で、満足いく風味のビールができた。このレシピ開発に発電所の売電収入から計100万円のお金が出た。
並行して、自然電気グループで農作品開発を担う玉木綾香(35)が、ビール瓶としての商品化のためラベルデザインの作成などを進めた。かねて長崎県の陶磁器「波佐見焼」を世界に売ってきた経験や人脈が役立った。こうして18年11月、瓶ビール2種の発売にこぎつけた。立地先の農業振興につなげる狙いを込めた食品ブランド「HALO(光の輪の意味)JAPAN FOOD」の第1弾という位置づけもある。農作物の生産地を示した日本地図のラベルが目を引く。
鍛島らは今度は、自然電力が小水力発電を地元と協力して始めた長野県布施町特産の栗を使ったビールの試作に入る。ラベルに新たな地名が加わることになる。「『志』がたくさんの人を巻き込んでいる」。鍛島の実感である。 (小森敦司)

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