3月26日 平成とは 小売り激変「7」

朝日新聞2019年3月20日夕刊6面:巨大な黒船が来た 大手スーパー、西友の幹部が世界最大の小売業、米ウォルマート・ストアーズの幹部と初めて話し込んだのは2001年6月、プラハでの国際会議の場だった。当時の西友は、系列ノンバンクの不良債権処理をようやく終えたところ。「無印良品」やファミリーマートを生み、成長させた西友だが、損失処理に伴い株主資本が低下していた。金融機関の貸し渋りから、新規出店や商品開発もままらなず、外部企業との提携を模索していたところだった。
「秋になったら日本に行くよ」。ウォールマート幹部は、そう告げて別れたという。その年の9月の米同時多発テロの混乱が落ち着いたころ、彼は社用機で来日した。提携に向けた具体的な交渉はこのころ始まり、極秘に進められた。翌年2月末、巨額の有利子負債を抱えるダイエーへの追加支援策がまとまり、一息ついたところだった。西友が3月14日夕に発表を予定していたところ、NHKが午後2時に「米ウォルマートが西友を買収へ」と流した。無警戒だった。ウォルマートの影はちらついてはいた。マイカルの経営破綻時にも、受け皿として名前が挙がった。消費低迷が続き、リストラを迫られていた日本の流通業界の前に、いよいよ巨大な黒船が姿を現したのだ。交渉に当たった幹部は明かす。「提携するにしても、日本型の総合スーパー(GMS)は行き詰っていた。同じ課題を抱える企業が一緒になっても意味がない。我々にもプライドがあるし」
仏大手のカルフールなど、欧米の大手小売業が相次いで進出した。だが、日本の消費者の嗜好を読み切れず、撤退したところも少なくない。ウォルマートでさえ、思い通りではなかったはずだ。日本の大手小売業は平成の間、デフレと金融機関の不良債権処理の過程で、戦略の大転換を迫られた。平成が終わる時代の節目の今も新たな課題に直面している。(編集委員・多賀谷克彦)

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