3月22日 サバ、ビジネスも脂乗る

日経新聞2019年3月16日1面:天然、生きたまま輸送/養殖には新顔続々 高級魚に出世地域潤す サバ関連ビジネスが活況だ。日本で一番とれる魚はサバ。大衆魚の筆頭だが、最近は漁師らの努力で天然の生きたサバを都会でも食べられるよう流通が進化。さらに刺し身がおいしい養殖サバも全国各地で続々デビュー、漁師の所得向上や地域の活性化に一役買っている。サバ缶人気だけじゃない、脂が乗った魚ビジネスとなっている。 神戸市三宮駅すぐそばの海鮮居酒屋「土佐清水ワールド生けすセンター」。店の中央のいけすで大きなサバが悠然と泳ぐ。サバは水温など環境変化に弱く、いけすで泳ぐ姿を見ながら新鮮なサバを食べられるのは全国で珍しい。看板メニューは「活〆(じめ)清水さばの姿造り」(3980円)。店員がたもですくい上げ、さばいてくれる。「身がモチモチで脂も乗っている」(神戸市の30代男性)
刺し身おいしく このサバがとれるのは高知県土佐清水市。足が早いサバは刺し身には向かないとされてきた。だが漁師たちは一匹ずつ釣り上げ、魚から優しく針を外して船内のいけすで生かしたまま持ち帰る。寄港すると全速力で活魚槽へ運び、魚が元気を回復したら出荷する。地元ではこの漁師の走りを「サバダッシュ」と呼ぶ。魚を生かしたまま運搬できるトラック「活魚車」に載せ、漁協の組合員たらが週2回、7~8時間運転して神戸まで運ぶ。3年前の開店当初はサバが全滅したこともあった。
水質や水温、魚の扱い方など産地と店員らが一緒に研究を重ねた結果「徐々に長く生かせるようになった」(運営するワールド・ワン=神戸市=河野圭一社長)。活魚運送の成功は、地元の漁師の収入アップややりがいにつながっている。本番の味に憧れて土佐清水市を訪れる観光客も増えているという。西の関さばに東の松輪ー。サバは全国でとれるが、鮮度や味の良さで高値が付くブランドサバは一握りだった。神奈川県の「松輪サバ」、大分県の「関さば」を両横綱に、青森県の「八戸前沖さば」、鹿児島県屋久島の「首折れサバ」などが有名だ。
養殖も盛んになってきた。巻き網にかかった小さなサバは1㌔数百円にしかならないが、4~6カ月いけすで育て400㌘前後に太らせると、単価は1㌔1700~2000円ほどに、タイを上回る高級魚に出世する。福井県小浜市では酒かす配合のエサで育てた「よっぱらいサバ」、和歌山県は梅入り成分を与えた「紀州梅お殿さば」など個性を競う。地元の名物に育てたい考えだ。
九州は激戦区だ。サバ養殖の先駆けとなった「長崎ハーブ鯖(さば)」、完全養殖に成功した佐賀県の「唐津Qサバ」。鹿児島県では「むじょかさば(「むじょか」は「かわいい」の意)」、宮崎県の「ひむか本サバ」。さながら戦国時代の様相となっている。
観光業とも連携 漁師がサバ養殖に力を入れるのは、収益の多角化のため。稚魚が成長するまで数年かかるタイやフグの養殖に比べ、サバは半年ほどで出荷できる。赤潮、台風など自然災害が増える中、魚種を増やすことで経営上のリスク回避にもつながる。サバは魚獲を抑える努力が実り、近年は資源量が安定している。2017年の漁獲量は51万㌧と水産物で1位。18年には魚介の缶詰の売り上げ首位だったツナ缶を抜いてサバ缶がトップとなった。「魚の中で栄養価もトップクラス」(日本水産常温食品事業部の外山邦彦部長)。だが海水温の変化や近隣国の漁獲増などもあり、再び資源の減少を心配する声もある。
「大切な命だから無駄にせず、養殖で太らせおいしく食べてもらいたい」(長崎ハーブ鯖を育てる谷川水産=長崎県松浦市、谷川一寿社長) 静岡県熱海市では今春、魚業者や温泉、ホテル、自治体などが連携する。熱海近海は小さなサバが多く集まる。いけすで育て、観光客が釣り堀や定置網で漁業を体験し、釣った魚を旅館の夕食で食べられるようにする。サバで地域活性化と水産業の成長産業化をめざす。(佐々木たくみ)

 

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