3月18日てんでんこ 電気のあした「3」切り札

朝日新聞2019年3月14日3面:人口が減り、税収が減り、地域が縮む中で、選択肢がほかにあるだろうか。 「日本語になったドイツ語は『ワンダーフォーゲル』などあまり多くありませんが、これも将来、日本語になるんでしょうか」立命館大教授のラウパッハ・スミヤ・ヨーク(58)が話した。「シュタットベルケ(Stadwerke)」のことだ。自然エネルギーによる電気事業をはじめガス・水道・ごみ収集サービスなどを提供する自治体公社で、ドイツには1400を超える団体がある。地域の住民から強い支持を受けている。「人口減少と高齢化、地域格差。自治体財政赤字の深刻化。同じ課題に直面する日独の地域再生の切り札になると思います」 2月上旬、宮城県東松島市。地域電力など23団体の集まり「ローカルグッド」の全国大会で、100人余りの関係者が耳を傾けた。ラウパッハは、自治体などが設立した「日本シュタットベルケネットワーク」(32団体)の代表理事で、同じ課題に立ち向かう仲間にエールを送った。
大会では、震災復興を進める地元の「東松島みらいとし機構」をはじめ、知事が「卒原発」、ケーブルテレビの中海テレビ放送や鳥取米子市などが出資する「ローカルエナジー」が現状を報告した。4月から電力小売り事業に参入する「加賀市総合サービス」(石川県)や横浜市水道局が出資する「横濱ウォーター」など水道事業者も顔を見せた。参加者に共通したは「大手電力会社との競争は厳しい」との声だ。ラウパッハも「電気事業はますます厳しくなる」と見る。
ドイツのシュタットベルケは戦前から築いた地域基盤を継続してきたのに対し、日本では、地域の中小電力が大手電力に統合され、現在も大手の影響力が支配的だからだ。「電力自由化といっても、地域新電力はゼロからのスタート」とラウパッハは言う。2020年には大手電力の発送電分離が予定されるが、大手電力の既得権をなくして「公平な競争条件」が実現するかは微妙だ。人口が減り、税収が減り、地域社会・産業が縮んでいくなかで、出口が見えない自治体財政の選択肢がほかにあるのだろうか。ラウパッハは強調する。「電気を売ることが目的ではない。エネルギー事業を通じて地域の課題を解決して住民の信頼を獲得する。それが私たちの仕事だ」 (菅沼栄一郎)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る