3月17日てんでんこ 電気のあした「2」みやま

朝日新聞2019年3月13日3面:「シュタットベルケ」を日本に。資源のない農業のまちがモデルになった。 みやま市は福岡県の西南、2007年に3町が合併した人口4万人足らずの街だ。昨年暮れ、前市長の西原親の葬儀が市内であった。享年80歳。地域新電力「みやまスマートエネルギー(SE)」を立ち上げたが、病に倒れ、道半ばで辞任した。社長の磯部達(60)は西原の妻に声をかけられた。「立派な会社にして欲しい、と最後まで言っておりました。よろしくおねがいします」 磯部が初めて西原を訪ねたのは、7年ほど前のことだ。企業誘致がうまくいかず、塩漬けになっていた土地にメガソーラーを建設する計画が進んでいた。事業収益を地域内で循環させるため、市や地元の事業所が出資する会社で運営する方針だった。
磯部は当時、パナソニックに在籍、エネルギーの地産地消を「街まるごと」で実現する事業を進めていた。ドイツの自治体公社「シュタツベルケ」を例にあげ、エネルギー収益を地域内で循環させ。電力ばかりでなく上下水道、ガス、交通分野の課題を解決する時代が日本にもやってくる。そうにらんでいた。西原と考えが一致した。15年2月に設立された「みやまSE」は、地域内の太陽光発電の余剰電力を買い取り、小売りした。それまで市外の事業者に支払われていた約30億円の電気料金が地域内で循環し、雇用を生む構造に変わりつつある。
一方で「日本版シュタットベルケ」の拡大を支援した。東京都と東北地方の自治体連携支援のほか、鹿児島県肝付町などが中心の「おおすみ半島スマートエネルギー」の設立だ。現在もいくつかの立ち上げ準備が進む。なぜ「みやま」がモデルになったのか。「特段のエネルギー資源があるわけではない農業のまち。だからこそ、モデルになる」磯部の右腕として全国を走り回る執行役員の白岩紀人(56)は言う。年に200を超えた視察自治体の半数は人口5万人以下だった。「うちにもできる」と考えたのだ。「みやまモデル」のポイントは、エネルギー事業の収益を住民に戻す点だ。各家庭のスマートメーターなどを使って、お年寄りの見守りサービスを広げてきた。防災やコミュニティーバスなどに展開する模索も進む。ドイツのシュタットベルケは1400を超えた。日本の自治体新電力は40前後。定着するカギはどこにあるのか。 (菅沼栄一郎)

 

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