3月16日てんでんこ 電気のあした「1」福島から 

朝日新聞2019年3月12日3面:あの時、原発の電気だっと知った。いま、太陽光の電気が園児を照らす。 東京・六本木の交差点から東へのびる繁華街を少し歩いて右へ折れると、3階建ての麻布保育園がある。子どもたちが走り回るホールや教室を照らす明かりは、昨年春から「福島産」に切り替わった。「福島白河市で作った電気を使っています」。廊下に置かれたパネルには太陽光発電施設の写真が見える。保育園や福祉施設など区内の8カ所に供給されている。「あれから、もう8年になりますか」
園長の田川伸子(60)は東日本大震災があった2011年3月11日、歩いて20分ほど離れた赤坂保育園の園長だった。午前に卒園式を終えた年長さんは帰宅したが、揺れた午後3時前には、なお80人ほどの園児がいた。お迎えが遅れる子のために夕食のおにぎりを用意した。保育士らは「帰宅難民」の緊急避難所になった近所の小学校へ応援に出た。翌日から東京電力福島第一原発が爆発、首都圏は停電の危機におびえることになる。「あの時、原発の電気だったと初めて知った。太陽光はほっとする」。田川は言う。
白河市から港区への電気は約380㌔ワット。福島第一原発の約470万㌔ワットと比べようもない「細い糸」だが、ビルだらけで太陽光パネルを置く空間もほとんどない港区にとっては自然エネルギー(再生可能エネルギー)の貴重な供給源だ。4月から山形県庄内町の風力と青森県平川市のバイオマスによる電気を新たに買う。目黒区と都環境公社は宮城県気仙沼市、世田谷区は群馬県川湯村と電力を融通している。都環境局は消費電力に占める再生エネ比率「30年までに30%程度」を目指す。
自治体間の電気の売り買いなどの「橋渡し役」のひとつが「みやまスマートエネルギー」だ。福岡県みやま市が55%を出資、15年に立ち上げた。自治体出資の新電力のトップランナーとして電気の調達先を全国に求め、都内と東北の自治体の連携も後押しする。その先がけがなぜ、九州の小さな町で生まれたのか。(菅沼栄一郎) =文中は敬称を略します
◇ 東日本大震災をきっかけに日本列島に広がった自然エネルギーは、自治体や地域社会のあり方を変えつつある。エネルギーが変える将来の姿「電気のあした」を占う。

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