3月14日てんでんこ 祭人「9」役割

朝日新聞2019年3月9日3面:郷土芸能にかける力を復興に注げば、どこにも負けない町になる。 2日夜、杉林に囲まれた岩手県大槌町の臼鹿子踊保存会の「伝承館」で稽古が始まった。9日に同県陸前高田市である三陸伝統芸能フェスティバルに出るためだ。東日本大震災後、海外を含めて招待される機会が増え、年間20回にもなる。今回は小学生主体の30人ほどが演じる。「もっと上から手を振れ」「腰を落とせ」。保存会長の東梅英夫(73)らの指導が飛ぶ。臼沢鹿子踊で卒業論文を書いた神戸大生の伊藤実紅(23)も出る予定で、「久しぶりだな」と声をかけられながら笛を稽古した。
180平方㍍の伝承館は20年前に建てられた。東梅ら保存会員による地域力の象徴だ。出演で受けとった「花(ご祝儀)」を積み立てたが、「舞台も必要」「トイレは男女別に」と図面を引いていると予算をオーバーした。地主から格安で借りた笹林を会員らで刈り、近くの林道工事で不要となった土を運び、山主に森を伐採させてもらった材木にした。会員の大工が建てたので工賃も抑えた。さらに足りない分は銀行から借りた。町の補助はほとんどなく「公民館の看板をかけるのならもっと出せる」と言われた断った。伝承館づくりは地域の結束を強めた。「大人はすごいなあ、子供だちの見る目も違ってきた」と東梅は振り返る。
その一方で、鹿子踊は地域外にも開かれている。現在1万2千人の町人口が2万人を超えていた1970年代から、東梅ら当時の若手会員は将来の少子高齢化を見通し、年配会員の反対を押し切って地縁血縁のない人も団体に受け入れ始めた。十数世帯の集落の郷土芸能に今も50世帯の会員がいて、伊藤のような参加者がいるのも、その方針からだ。400年の伝統を待つ臼沢鹿子踊には43種類の舞がある。昔は供養や魔よけの要素が強かったが、祝い事で舞う機会が増え、婚礼、新築と用途別に分かれていったのだろうと東梅は推測する。「伝統芸能といえどもその時代の人に必要とされ、合った形に変わっているから何百年と続いているはずだ」
そして思う。「大槌の郷土芸能が持つ結束力と対応力を復興に注げば、どこにも負けない町になるんだがなあ」(東野真和)
◇ 「祭人」は終わります。次回は「電気のあした」を始めます。

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