3月14日 新聞を読んで 水野剛也

東京新聞2018年3月4日5面:「当事者」として伝える 新聞記者はニュースの現場から、第三者の目で事実を伝えます。そんな本紙記者の皆さんが時には自らが体験し、五感をフル活用して記事を生み出す姿勢に好感を持っています。代表例が、20回を超す連載「清水孝幸の続五十代の地域デビュー」(暮らし、最近は3月3日)です。中年記者が「地域に溶け込もうとする奮闘記」で、やぐら上での盆踊り、マラソン応援、銭湯通い、などに挑戦しています。ひとごとだから気楽に提案しますが、読者から広くアイデアを募ってみては? おもしろい企画が舞い込むかも。
率先するベテランに、後輩も負けていません。山田雄之記者は「甲賀流 忍者検定」を受験(「人気の忍者になるんじゃ」昨年10月31日TOKO発)、布施谷航記者は気象予報士試験に挑み(11月21~25日メトロポリタン)、両親とも見事に合格。だてや酔狂じゃない。本気です。
なかでも超個性的なのが高山晶一記者です。浅草サンバカーニバルの常連チームに所属し、一部リーグ残留をかけて奮闘(8月29日T発)。「サンバに燃える同僚の写真に驚きました」(「編集日誌」)とあることから、社内にもショックが走ったようです。「身銭を切る」タイプもいます。渥美龍太記者はインターネット上の仮想通貨を購入し、家電量販店で使うまでの過程を報告しています(「ビットコインの世界」10月30日~11月2日朝刊)。
ただし、その後に落とし穴が。鎌倉優太記者が取引所運営大手「コインチェック」の巨額流失事件に巻き込まれてしまったのです。「編集日誌」(1月29日社会)は「自業自得」とつれませんが、やはり、そこは転んでもタダでは起きないジャーナリスト。「記者も購入危うさ実感」(1月28日社会)を書き、挽回しています。最後は、より切実な例を紹介します。小学2年時に学生服の男性に性器を触られ、「被害者は黙っていろ」という社会の圧力を感じたという出田阿生記者の告白には息をのみました(「コンパス Me Too(私も)」11月18日夕刊)。当事者でなければ書けません。
同じ考えさせられたのが、口唇裂の第四子が誕生し、初の育休を取得した政治部の山口哲人記者の連載「パパ初育休」です(1月17~25日暮らし)。とかく「きれいごと」「美談」に終始しがちなテーマですが、「このような外見の子を愛せるか?」「中絶も考えた」(1月17日)と本心を吐露する勇気に敬意を表します。世の中には、やってみて、なってみて、はじめてわかることがあります。報道には「客観的・間接的な視察」だけでなく、「主観的・直接的な体験」も重要なのです。(東洋大学社会学部教授) *この批評は最終版を基にしています。

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