3月13日てんでんこ 祭人「8」深い交流

朝日新聞2019年3月8日3面:観光ではなく、第二の故郷として一生つながっていたい。 東京都世田谷区の会社員、安部薫(25)は、明治学院大学在中から岩手県大槌町吉里吉里を20回以上訪ねている。被災者支援をしているうちに8月の祭りに誘われた。吉里吉里獅子踊の会員宅や寺に1週間ほど泊めてもらい、笛を稽古して覚えた。卒業後も毎年のように参加している。新興住宅で育った安部にとって、吉里吉里の住民が持つ郷土芸能への誇りは「あこがれ」だった。在学中に吉里吉里の方言でカルタを制作するなど地域の文化に興味を持ち、卒業後は同県花巻市の地域おこし協力隊員を1年努め、現地の郷土芸能にも加わった。
「吉里吉里や花巻との交流は、2011年の東日本大震災直後、避難所での支援から始まり、小中学生への学習支援などで延べ1400人以上が訪れた。祭りになると安部のような有志が郷土芸能の団体に加わる。今月23日にJRから移管された三陸鉄道が開通するのにあわせ。吉里吉里を紹介するマップを制作して配る予定だが、その取材には、郷土芸能で培った人脈が生きた。井上ひさしの小説のモデルとして知られ、自治力の強い吉里吉里は、震災前までは閉鎖的でもあった。震災で多くの支援を受けて新らしい交流が生まれた。郷土芸能は、それを深める役割を果たしている。
神戸大の伊藤実紅(23)も、郷土芸能の気力に引き込まれた一人だ。入学直後から大学の派遣で大槌町周辺の仮設住宅の支援をした。15年5月の神戸まつりで同町の「臼沢鹿子踊」が披露され、旗を持ったのがきっかけで代表の東梅英夫(73)に秋祭りに誘われた。友人らと行くと衣装が用意されていた。伊藤のような県外参加者は20人以上いた。何度も通い、卒業論文のテーマにもした。2月から三陸に滞在して伝統芸能を体験するツアーの準備を手伝っている。「自分のような祭りファンを増やしたい」と話す。震災後、三陸の郷土芸能を鑑賞するツアーを企画した旅行会社もあったが、今はほとんどない。企画したことのある大手旅行会社員は「有名な祭りでない限り参加者は集まらない。むしろ郷土芸能は、数は少なくても住民との交流でリピーターになる人を増やすのに適している」と話す。
(東野真和)

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