3月12日 白球の世紀 38

朝日新聞2018年3月2日夕刊12面:学生野球 国が統制令 1931年9月18日、満州事変が始まった。中国東北部、奉天(現瀋陽)郊外の柳条湖で、南満州鉄道(満鉄)の路線を何者かが爆破。関東軍は「自衛」名目で軍事行動を起こしたが、自作自演の謀略だった。「不拡大」を唱える政府をしり目に、関東軍は戦線の拡大を既成事実化。批判的だった朝日新聞も現状に追随し、支持に転じた。32年3月1日、「満州国」建国が宣言された。長春で9日に開かれた建国式典と溥儀の執政就任を、11日発行の大阪朝日新聞の号外は大きく伝える。
危機感が強調され、各分野で当局の締め付けが加速。文部省は学生野球の規制を本格化させた。17日付同紙は「野球統制ー/愈よ一日から実施/一部の反対は介意せぬ」の見出し。文相の鳩山一郎らが「野球統制訓令案」を検討、4月の実施を決めた。「東京某新聞ほか二十社」が1年延期を陳情したが、「反対運動に介意せず断然実施することになった」とする。
野球統制令は、全国中等学校優勝野球大会と選抜大会は、文部省公認で年1回開催▽同一府県内の3校以上でする試合は、府県体育団体の公認が必要▽入場料を取る試合は、府県体育団体の主催か文部省公認に限るーなどとする。4月10日付同紙は「手厳しい野球統制」とうたった。京都市がグランド開きに東京六大学の新人を招こうとした事例や、神奈川県で予定されていた明治大学2軍対日本大学の試合が、文部省に禁じられたと報じた。
大会40年史は、「一部の興行師が大学、中学校の野球を興行的に扱い、選手のなかにもそれに甘えるもの」がいて「球界にも反省すべき点はあった」が、「野球に理解のない役人に実権を委ねた」のを「拙い」と記す。一方で、この規制がプロ野球の発足(34年12月)を促した側面もあったと分析する。東京府は同じ時期、入場料を取る試合に「野球観戦税」を課す方針だったが撤回。代わって主催者側に寄付を求めることにした。
(編集委員・永井靖二)

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