3月11日てんでんこ 祭人「6」町内会

朝日新聞2019年3月6日3面:「コミュニティーの思いが形になるのが祭り」。再建されたまちで継続を願う。 岩手県陸前高田市の気仙町今泉地区は「けんか七夕」の地元だ。そのかさ上げ地で1月、気仙小学校の新校舎落成式があった。県内で被災した住宅が建ち始めている。祭りの保存連合会長、佐々木富寿夫(65)の自宅も同じかさ上げ地で再建中だ。年内に完成する予定で、ようやく仮設住宅から出られる見通しがたってきた。再建の地で町内会かどうなるかが、佐々木の「不安」だ。震災前の地区には四つの町内会があり、それぞれが総出で、それぞれの流儀で飾り付けた自慢の山車で祭りに参加していた。だが、被災を受けて町内会はすべて解散済みか解散予定だ。「町内会は入り交ざって家を建てることになった。まとめるのは大変だ」
その行方は祭りの未来に直結する。新しいまちはようやく家が建ち始めた段階で、伝統をどう引き継ぐのか、まだ見通せない。祭りは8月7日で、その日が平日ならば昼間は高齢者と子どもがのんびり引いていた。それが震災で注目を集め、飛び入り歓迎なので観光客や支援者らが集まった。けんかに勢いがつき、山車の破損が増えて修繕費もかさむ。駐車場や警備員の経費も加わった。一方、「花」と呼ぶご祝儀のしきたりは外の人には広まらず、収入は増えない。
昨夏、初めて会場に募金箱を置いてみた。保存連合会の若手メンバー、村上大介(42)が箱の中をのぞいてみると、「上から底が見える程度しか集まらなかった」。村上は高校時代に地区外に転居したが、今も保存連合会の事務局を務める。生まれた地の伝統をつなぎたい。若手からは、地域への誘客ツアーの目玉として「祭り体験」を組み込む構想もあがる。「飾り作りなどを体験してもらい、地区には謝礼金が払われるとか」。民泊とのセットも一案という。
新しいまちで、前と同じく盛り上がり、「つらい時代もあったな」と話すー。震災の年の祭りの仕切り役だった村上徳彦(51)は当時、復興後をそう思い描いた。現実は、震災から8年近くたっても道半ば。でも、地域と祭りの将来を信じたい。「コミュニティーの思いが一つの形いなって現れるのが祭りだから」
(山浦正敬)

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