3月11日 オトナになった女子たちへ 益田ミリ

朝日新聞2108年3月2日33面:土産には人柄がでる お土産さんが大好きだ。旅に出る。目的地に到着。すぐに駅構内、あるいは空港内の土産屋を見たい。どんな物があるのかな? わくわくする瞬間だ。隅々までチェックし、気になったら、もう買うことにしている。グリム童話のヘンゼルとグレーテルが、森で迷子にならぬよう石を落としながら歩いたのとは逆に、わたしはこまごま土産を買い足しながら前進するのだった。
旅行中に買った土産は、最終的に宅配便で自宅に送る。リュックサックや着替えも一緒に入れるので、帰路はほとんど手ぶらである。土産には人柄がでる。自分用の土産は、宅配便だから重量を気にせず買うのだが、友人用には「軽さ」に重きを置いている。たとえば、友と会う。カフェでケーキを食べつつ。
「これ、旅のお土産」手渡すのは、軽くてかさばらないものばかり。豆菓子だとか、ハンカチだとか。持って行くときに自分が重たくない、という基準で選ぶから毎度似たようなものに‥。しかし、そうではない人もいる。カフェでお茶をし、腹ごなしに一駅歩き、到着した駅の改札。別れる寸前に、「ミリちゃん、これ旅行のお土産」友に手渡されたものが、大きな瓶入りのジャムだったことがある。
わたしは友の器のデカさに心打たれた。シンガ1個分くらい重たいジャムを、ずーっと持ち歩いてくれていたのか! 「試食したらおいしかったから」などと友は言うが、わたしなら、「試食しておいしかったけど、持っていくの重いからやめよ」である。さてさて、今年も旅の計画をたてた。真新しいスケジュール帳を開き、ここと、ここと、このあたりに旅をしたい、と線を引いただけである。行けるかどうかはわからぬが、「希望の線」だ。
久しぶりに高知県にも行きたい。高知の日曜市は何度行っても楽しい。広々とした空の下。出店がズラリと並び、お土産好きのわたしには、たまらない光景だ。そして、またそこで「軽い」土産を友人たちに選ぶはずである。(イラストtレーター)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

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