3月11日 わが家の備蓄いつもの食品中心に

朝日新聞2019年3月6日16面:栄養バランス考え組み合わせ 大きな災害の時には、食料の支援が届くまでに時間がかかったり、人によっては食べにくいものだったりすることがあります。それぞれの家族の事情に合わせて備えるヒントを専門家に聞きました。「常温で保存できて、そのまま食べられるものが本当に便利だと思いました」。料理教室ベターホーム協会の講師、森田陽子さん(63)は東日本大震災を振り返る。仙台市の自宅マンションは無事だったが、部屋中にものが散乱。スーパーの棚はすぐに空になり、夫の同僚らが県外まで買い出しに行った。徐々に流通が回復したたものの、生鮮品はなかなか手にはいらなかった。森田さんは、牛乳がないことがつらかったという。「各家庭で『これだけは欠かせない』という食品は違うので、それを考えて備えて欲しい」と助言する。同協会は、特別な非常食ではなく、いつも食べいるものを中心にした備蓄を提案している。森田さんのように、避難所ではなく、自宅で過ごせる場合もあるからだ。
近年、食品メーカーは「簡単」「時短」の商品に力を入れており、缶詰やレトルト食品の種類が豊富になった。数分でゆでられるパスタもある。同協会講師の小関彰子さん(55)は「こうしたものを組み合わせると、栄養バランスがよい食事ができます」と話す。小関さんに、災害時にも作りやすいパスタを考えてもらった。トマトジュースとツナ缶、早ゆでタイプのスパゲッティを使い、カセットコンロと鍋一つで7~8分で仕上がる。調理時はポリ手袋をすると食中毒予防になり、手を洗う回数も減らせる。食器はラップやホイルをかぶせて使い、洗いものを減らす。食材は、キッチンばさみで切れば、包丁・まな板を使わずに済む。
ストック食品を見直す際には、たんぱく質やビタミンなど、栄養面も考える。好きな味の食べ慣れたものなら、のどを通りやすい。赤ちゃんや食物アレルギーのある人がいる場合は、それぞれが食べられるものを備える。こうした食品は、しまい込むとどこにあるのか分からなくなり、必要な時に出しにくい。見える所に置いて日々の料理に取り入れ、使ったら買い足す。頻繁に使わないものは、賞味期限切れに注意を。定期的に食べる日を決めるのも一手だ。(栗田優美)
水分・油分加えのみ込みやすく 宮城県石巻市の老人ホームに勤める管理栄養士、佐藤真由美さん(36)は東日本大震災の時に配られたおにぎりやパンが、のみ込む力の弱くなったお年寄りには食べにくいと気づいた。入れ歯が持ち出せなくて食事が出来なくなった人、水分を控えて脱水症状になった人もいた。こうした経験から、食べ物が限られた時でも、食べやすくする工夫を伝えている。
佐藤さんは「おにぎりやパンなどの炭水化物に、水分や油分を加えるのがコツです」という。おにぎりは、野菜ジュースに浸すとリゾット風になり、ビタミンやミネラルも取れる。ツナ缶をオイルごと加えれば、カロリーも取れる。調理にはポリ袋を使うと手軽だ。
パン類は、かむ力が弱いと口の中で団子状に固まり、のどに詰まる危険がある。ちぎって牛乳やコーヒー、ココア、果物の缶詰などをかえるとよい。湯煎できるポリ袋があれば、袋ごと温めることもできる。100円ショップなどで手に入る。インスタント麺は麺をくだき、お湯で戻す時間を長くする。魚の水煮缶やハンバーグなどのレトルト食品が食べにくい場合、袋に汁ごと入れ、マヨネーズやサラダ油を加えてもむと、しっとりする。佐藤さんは、食事に加えるとのみ込みやすくなる「とろみ調理剤」を常備することもすすめる。このほか、市販の卵スープやポタージュスープのもとにはとろみがついているものもある。お湯を注ぎ、そこにおにぎりやパンを入れるとおいしく食べられる。(西村綾華)
*ストックしておくとよい食品の例
・水1人1日3㍑、1週間分が目安 ・真空パックの餅、早ゆでパスタ、無洗米 ・インスタントの麺類、みそ汁、スープ ・缶詰(ミートソース、焼き鳥、ツナ、サバ、トマト、コーン、大豆など)、瓶詰(サケフレークなど) ・レトルトのあかゆ、カレー、おでん、豆類 ・魚肉ソーセージ ・常温で保存できる野菜、果物 ・乾物(ひじき、スライス干しシイタケなど) ・ジュース(野菜ジュース、スポーツドリンクなど) ・常温で保存できる牛乳、豆乳 ・粉チーズ ・シリアル、クラッカー、菓子
 

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

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