3月10日 シェアハウスの闇(上) 

朝日新聞2018年3月1日9面:甘い誘い借金2億円 「もうおしまい。死ぬしかないかもしれない」。東京郊外の老夫婦のもとに昨秋、取り乱した娘から突然電話がかかってきた。娘の夫が知らないうちにシェアハウス2棟を建てる契約を結び、2億円もの借金を抱えたのだという。不動産業者スマートデイズ(東京)が、賃料で年8%の高利回りを約束した。ところが、賃料が払われなくなることが着工前にわかり、更地と30年続く毎月100万円の借金返済が残った。東京北西部にある二つの土地を鑑定してもらうと、買った値段は相場より3~4割割高だった。転売しても千万円たんいの赤字になりかねない。ローンを組む銀行に窮状を訴えると「(借金返済にために)また別のローンを紹介しますよ」と突き放された。
娘の夫は40代後半の会社員で年収は約1千万円。高所得なのになぜ投資? 本人は言う。「下の子どもが3歳で、自分の定年後も大学に通わせられるよう、老後の収入があればと思って。考えが甘かった。買ったときと同じくらいの値段で土地を売れなければ、破産せざるを得ない」
老後の蓄えに不安を抱える30~50代の会社員を中心に、シェアハウスへの投資は2014年ごろから急速に拡大した。スマートデイズが「30年家賃保証」「高利回り」「頭金ゼロ」などとうたってオーナーを募集。類似業者が続々と同様のビジネスを仕掛け、オーナーになった会社員らは1千人規模に膨らんだ。
スマートデイズは約700人と一括借り上げ(サブリース)契約を結んだが、昨年10月に賃料を減額し、今年1月から不払いとなった。シェアハウスの管理は続け、入居者から家賃を集めながら、オーナーへの賃料は払わなくなった。再建目的で1月12日付で社長に就いた菅沢聡氏は「自転車操業だった」「ビジネスモデルは破綻している」などと朝日新聞の取材に明かした。
スマートデイズは70社以上の仲介業者を通じ、物件を3~4割増しの価格で販売。1億円の物件なら数千万円の利益を得ていたが、入居率は4割前後しかなく、物件販売で得た利益を既存物件の賃料の穴埋めに充てていたという。物件が売れる間は自転車操業を続けられたが、スマートデイズ側によると、物件の大半にお金を貸した地方銀行のスルガ銀行(静岡県沼津市)が昨秋、態度を変えて融資をほぼストップ。新たな物件販売で利益を得られなくなり、約束した賃料も捻出できなくなったという。
割高な物件でもたくさん売れたのは、高利回りの家賃が保障されたからだ。年収800万円の40代男性は、東京都足立区に1億円弱の物件を購入した。初期費用も含め全額をスルガ銀の融資でまかなった。管理費を差し引いた60万円を賃料として受け取り、ローン返済は月45万円となる計画で、スマートデイズとは「30年賃料定額」という覚書まで交わした。1室あたりの賃料は約6万円。新築だが風呂・トイレ共用で、都心から離れた立地にしては高めだ。木造で30年同じ家賃を維持できるとは考えにくく、無謀な計画にも映るが、男性は現地も見ずに購入を決めた。シェアハウスに投資したオーナーは、一流企業で働き、高収入で社会経験豊富なサラリーマンがめだつ。それがずさんにもみえる投資話になぜ手を出したのか。背景には、ある巧妙な「仕掛け」があった。
🔶1千人規模のオーナーが億単位の借金で途方にくれる事態となった。「シェアハウス投資」。問題の背景を3回にわたり掲載する。(藤田知也)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

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