29日 フェイクニュースどう見抜く

東京新聞2017年6月27日4面:ジャーナリスト・津田大介さん だまされないために 昨年の英国のEU離脱(ブレグジット)決定や、米国のトランプ大統領誕生をはじめ、世界では予想もつかないことが当たり前のように起きるようになった。その”後押し”をしているといわれいるのが「フェイクニュース(虚偽の内容を含むニュース)」や「ポスト真実(客観的事実よりも感情的な訴えかけの方が世論形成に大きく影響する状況を指す言葉)」だ。
誰でも簡単に情報を流すことができるソーシャルメディアが普及し、ビジネスで苦境に立つテレビや新聞などの既存メディアが注目を集めるため、あおった情報を流すようになった。そのことは「事実」よりも「自分の信じたい情報」を信奉する人の増加をもたらした。
そんな状況を改善する処方箋はないのか。ブレグジット決定から一年がたち、「ポスト真実」がなぜ力を持ち、フェイクニュースがなくならないのか分析する論考や書籍が相次いで出版されている。先月、発売直後から話題を集めたのが、『日経サイエンス』7月号の特集「トランプVS科学」だ。中でもサイエンスライターの長倉克枝氏による「ネットで軽くなる『事実』の重み」という記事は非常に興味深いものだった。
それによれば、トランプ大統領を支持する極右ネットメディア「ブライトバート」や、日本における掲示板まとめサイトなど、極端な情報が書かれているサイトの読者は、その虚偽を暴く情報に接するとそのサイトを読み続ける確率が3割高まるそうなのだ。信じていることを「虚偽」だと言われると、さらに強くそれを信奉するようになるー日本でもよく見られる光景だ。この仮説に従えば、政治家が堂々とうそをついてもなかなか支持率が落ちない理由が理解できる。
『中央公論』7月号の『フェイクニュースが世界を覆う』も力の入った良い特集だった。中でもマケドニアの若者たちのルポは衝撃的な内容で、問題の根深さを理解するにはもってこい。「倫理上の問題があっても違法行為でない」なら、人はお金を稼ぐだめに情報をゆがめることをいとわない。そのことがよくわかる記事になっている。
網羅的にこの問題を知りたいならば、6月13日に発売されたばかりの新書『信じてはいけない』(朝日新聞出版)がオススメ。朝日新聞の平和博記者によって書かれた同書では、ここ1年ほどネットで起きたさまざまなフェイクニュースの事例が細かく紹介さており、だまされないための情報元の調べ方なども掲載されている。この本を一冊読めば、フェイクニュースの全体像を把握することができるだろう。
🔶 手前みそで恐縮ですが、実は筆者も「ポスト真実」についての書籍(名古屋大学の日比嘉高准教授との共著本、祥伝社)を7月2日に発売します。「ポスト真実」はいつ生まれて、どのようなプロセスで影響力を持つように至ったのか、体系的に学べる良い本に仕上がっているで、東京新聞の読者の皆様方には、ぜひお買い求めいただければありがたいです。

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る