28日てんでんこ 皇室と震災Ⅱ【16】

朝日新聞2017年7月27日3面:天皇陛下から「山古志村民に親切にしていただきありがとう」と感謝された。 泉田裕彦さん(54)が新潟県知事に当時全国最年少の42歳で就任したのは、中越地震発生翌々日の2004年10月25日だった。11月6日には天皇、皇后両陛下を新潟空港で迎え、当時の山古志村長・長嶋忠美さん(66)とともに自衛隊ヘリに同乗した。「皇太子さま(当時44歳)より若い知事として、両陛下はご認識いただきました」
上空から、河川の土手などにブルーシートが見えた。「なぜ地面に敷いてあるのですか」と天皇陛下が尋ねたので、泉田さんは「雨で亀裂が広がり、被害が拡大するのを防ぐためです」と答えた。地震発生から2週間後の訪問について泉田さんは「絶妙なタイミングだった」と振り返る。「地震から1週間もたつと、被災者は心身ともに疲れ、落ち込む。そこを励ましていただくことで、地域がバラバラになるのを防ぎ、改めて復興への気持ちを作ることができた」
長岡市長だった森民夫さん(68)は6日正午前、長岡商業高校に移動し、体育館で、全村避難していた山古志村(現・長岡市)からの避難者に声をかけた。立てひざでいる時間が長かったためか、バスに乗るときには皇后さまのスラックスのひざに糸くずやほこりがつき、白くなっていたことを、森さんは覚えている。
近くの長岡保健所で昼食をとりながら被災状況を説明した。長岡市民も被災しているなか、山古志村の全村避難を受け入れたことについて、天皇陛下から「山古志村民に親切にしていただき、ありがとう」と感謝された。
森さんは東京大工学部建築科の卒論のテーマが「コミュニティ論」で、建設省(現国土交通省)でも住宅政策が専門だった。村民が避難生活でバラバラにならないよう、04年12月に始まった仮設住宅の入居の際も集落ごとにまとまって住むことにこだわった。
両陛下は08年9月、「全国豊かな海づくり大会」にために新潟県を再訪した。「復興した山古志村を見てほしい」との地元の要望を受け、名物の闘牛とニシキゴイを鑑賞した。同行した泉田さんは旧山古志地区で、高齢女性からこんな感想を聞いた。「両陛下は私より年下だけど、まるで両親に見舞ってもらったような気持ちになりました」(北野隆一)

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