27日 池上彰の新聞ななめ読み

朝日新聞2017年8月25日15面:スペインのテロ事件 背景の解説もっと詳しく スペインで8月17日に起きたテロ事件。こういう事件の発生を聞くと、事件がスペイン特有の事情で起きたのか、ヨーロッパ各地で起きているテロ事件と関係があるのか、あるいは日本まで影響してくるような事件なのか、不安と疑問が募ります。新聞各紙はどう分析しているのでしょうか。
読売新聞は19日付朝刊の2面で解説を掲載しています。スペインで、なぜテロが起きたのか。<スペインでは今年に入り、テロ発生への懸念が急速に強まっていた。北アフリカなどから海を越えてスペインに上陸する移民・難民が例年以上に増えていたためだ。(中略)こうした移民・難民に紛れてイスラム過激派が入国し、大規模なテロを起こす危険性などが指摘されていた>
今回の事件が難民に紛れて入ってきた過激派の犯行だと断定しているかのような文章です。こんなに簡単に断定していいのかと思ったら、まだ文章が続きます。<欧州連合(EU)でテロ対策を担う責任者は今年3月、読売新聞の取材に対し、シリアやイラクに渡って「イスラム国」などに加わった外国人戦闘員にうち、欧州出身者が約2500人に上るとの見方を明らかにした。この責任者は、戦闘員がそれぞれの母国に戻り、テロを起こす事態を懸念していたが、スペインもこうした危険と無縁ではない> あれれ、一般論だ。
<バルセロナなどの観光都市では、外国人観光客が住民生活を乱すとして、観光客排斥の動きも強まっている。(中略)テロ発生以前から治安悪化への不安が出ていた。こうした社会の不満や反感が渦巻く状況に、テロリストが潜伏する余地があったとの見方も浮上している> 治安悪化の一般論も登場しました。それにしても、「社会の不満や反感が渦巻く状況」があると、なぜ「テロリストが潜伏する余地」があるのか。しかも、「見方」をしているのは、誰なのか。
1面にはモロッコ国籍の男3人とスペイン国籍の男1人が拘束されたという記事があるのに、この解説記事にはモロッコが登場しません。結局一般論を並べただけでした。


では、同日朝刊の朝日はどうか。<イスラム教徒が多い隣国モロッコに接する飛び地の領土もあり、「過激派の温床」になる懸念は以前からあった> これだけだとわかりにくいのですが、この文章よりだいぶ後になって、次の文章が登場します。 <爆発に関与したとして拘束された男は、モロッコに隣接したスペインの飛び地メリリャ出身だという> ようやく具体的な地名が出てきますが、メリリャがなぜ問題か、さらに後になって出てきます。
<モロッコに隣接するスペイン領メリリャでは近年、ISへの勧誘活動をしていたグループが摘発されている>
ここまで読んで、ようやくスペインとモロッコの関係が見えてきました。どうして、この三つの文章をとりまとめた解説記事にしないのか、不満が募ります。
同日の毎日新聞は、ヨーロッパで自動車を使ったテロが相次いでいること解説していますが、スペインとモロッコの関係については触れていません。やはり不満。


読売新聞の19日付朝刊の記事にはがっかりしましたが、翌20日付朝刊では、7面に大きくモロッコとスペインの関係についての解説記事がようやく掲載されています。<フランスの保護領だった歴史があるモロッコは、スペインとも関りが深い。スペイン本土から、ジブラルタル海峡を隔てて約20キロメートルの距離にあり、北部にセウタとメリリャの2か所のスペイン領が飛び地で存在する。スペインへの移民の子孫も含むモロッコ系住民は、60万人以上いるとみられている> なぜ飛び地があるのかまで解説してほしかったですが、とりあえずは、スペインとモロッコの関係がわかる解説でした。 🔶東京本社発行の最終版を基にしています。

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