26日 花咲徳栄 新たな歴史

朝日新聞2017年8月24日35面:「夢見ているよう」埼玉歓喜 夏のグランドに青色の花の輪が広がった。互いに初優勝をかけた23日の決勝。花咲徳栄(埼玉)の選手たちは何度もダイヤモンドを駆け回った。強打で勝ち進んだ広陵(広島)は、花咲徳栄のダブルエースの好投に、4度目の挑戦を阻まれた。
埼玉県加須市の花咲徳栄では、選手の親族や女子硬式野球部員ら約500人がテレビの前で声援を送った。女子野球部は22日まで開かれていた全国ユース大会で3位だった。伊藤姫咲(きえ)主将(17)は「私たちの分まで(男子は)頑張ってくれた」。中には「感動をありがとう」と涙ぐむ女子部員もいた。
清水達也投手の出身地、埼玉県深谷市は市総合体育館でパブリックビューイングを開催。約400人の市民が駆けつけた。清水君が五回途中からマウンドに上がると、「頑張れ 頑張れ タツヤ」と連呼。優勝が決まるとバンザイを繰り返した。
メガホンを手に、最前列で観戦した祖父の清水保彦さん(80)は「落ち着いて投げてくれることだけ願っていましたけど、まさか優勝とは。夢を見ているようです」と話していた。
 OB「誇らしい」 花咲徳栄の優勝に、昨年のエースで、現在、プロ野球の広島でプレーする高橋昴也投手は「一緒にプレーしていた後輩たちがたくましく成長している姿をテレビで見ていました。花咲徳栄の一員だったことを誇らしく感じています。埼玉大会から甲子園決勝までの厳しい戦い、本当にお疲れさまでした」とコメントした。
OBのロッテ・根元俊一内野手は「集中力、精神力は選手たちががんばって身につけたもの。埼玉の歴史を塗り替え、本当に『すごい』の一言」と喜んだ。
「勝てるように」2エース実った 制球力が持ち味の先発と、速球を走らせる抑え。花咲徳栄はタイプが異なるダブルエースの継投で、全国の頂点に立った。五回裏、無死二塁。今大会屈指の強打者、広陵の中村奨成君(3年)を打席に迎え、花咲徳栄の先発、綱脇彗君(同)が清水達也君(同)にマウンドを譲った。
「ごめん」。ピンチを招いて下を向く綱脇君の肩を軽くたたいた清水君は「よくやった、お疲れ」。ボールをもらった後は中村君に内野安打を許したものの、後続は抑え、無失点で切り抜けた。
昨夏の甲子園は2人にとって、苦い記憶だ。2試合を完投していた先輩エースに代わり、綱脇君は作新学院(栃木)との3回戦の先発を任されたが、「相手の威圧感と球場の異様な雰囲気にのみ込まれて」、二回途中までに5失点で降板。続いた清水君は無失点で踏ん張ったが、打者6人を相手にしただけで交代。チームもそのまま敗れ、手応えがないままに夏が「あっという間に終わってしまった」。「来年こそ勝てるように、2人で投げきろう」
埼玉に帰ってから、決心して練習を始めた。日頃から練習メニューも、寮の部屋も一緒。チューブを使ってフォームを固め、走り込みや綱登りで体力を強化した。
「なぜ打たれたのか、振り返りながらやってきた」と綱脇君。清水君も「もう二度と、あのような悔しい経験はしたくない」との気持ちで今年の大会に臨んだ。
岩井隆監督も、1人のエースに頼る難しさを感じていた。そこで選んだのは、コースを丁寧に突く「安定感の綱脇」が先発して試合を作り、最速150キロの球威で押す「爆発力の清水」が打線をねじ伏せて絞める継投策。埼玉大会の決勝、甲子園の全6試合を2人の継投で勝利した。岩井監督が「半分ずつ」投げさせた甲子園の決勝はそれぞれ、中村君から三振も奪った。今大会を通じて中村君が喫した、ただ2回の三振だった。
試合も14-4で勝利し、2人はマウンドで歓喜の輪に加わった。今夏は「球場の雰囲気を楽しめた」という綱脇君は「後ろに清水がいたから、安心して投げられた」。清水君は「ピンチでこそ投げたかった。綱脇に自責点をつけたくなかったので、抑えられて良かった」。そろって、最高の笑顔を見せた。(笠原真)

 

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