26日 ヤマトは変われるか

朝日新聞2017年6月24日9面:12時間で130個3割再配達 6月後半の平日。ヤマト運輸の関東地方の営業所に勤める男性セールスドライバー(SD)が働く現場に、記者が終日同行した。
始業時間の午前8時ごろ、身支度を整えて、トラックに荷物を積み込む。9時過ぎに営業所を出発。昼過ぎまでに運ぶ荷物は、配送時間の「指定あり」をあわせて100個弱。うち半分弱はアマゾンなど通販会社からの荷物だ。約25キロの米、2リットルの水が12本入った箱もあった。
配達区域は団地と住宅街。荷物は常に小走りで運び、階段は1段飛ばし。不在伝票を作りながら、次の荷物を用意する。午後1時ごろまで休みなく走り回ったが、3割強が不在だった。時間指定をしているのに不在の家もあった。
いったん営業所に戻り、午後の荷物約30個を積み込む。近くのコンビニで買った中華そばをかきこんで2時過ぎに配達を再開。「昨日は午前中だけで荷物が50個多かった。今日は昼食がとれただけで御の字です」
携帯端末に次々と時間指定変更の知らせが入り、再配達依頼の電話も10回以上鳴った。「あそこはお母さんが4時ごろに帰ってくるから後回し」「向こうを歩いているのはさっき不在だった人。5分したら行きましょう」。刻々と変わる状況に機敏に対応する。区域内の配達先の家族構成や帰宅時間は、ほぼ頭に入っているという。
合間に商店やスーパーへの集荷を済ませて営業所に戻り、7時前に再び出発。夜の荷物は10固弱だ。今春までは20~30個がざらだったが、「アマゾンの当日配送が縮小されて夜の荷物が減った」。最後まで不在だった荷物を数個持ち帰り、普段より1時間早い午後8時過ぎに配送を終えた。配った荷物は約130個。うち約3割が再配達だった。「足はパンパンです」夏や年末の繁忙期の荷物は1日に200個を超すという。「繁忙期は、以前のように夜遅くまで荷物を配ることになるのでは」と不安は拭えない。
ヤマトは個人向けの基本運賃を値上げし、宅配現場の待遇改善に増収分を充てる▽大口の顧客と荷物量の抑制を交渉する▽手厚いサービスを見直すーなどを柱とする「働き方改革」を打ち出した。2017年度は荷物を前度より8千万個減らす目標だが、本格手に減り始めるのは、通販業者など大口の荷主との交渉が終わる今秋以降の見込み。要員増も進める方針だが、宅配業界の人手不足は深刻で、計画通りに確保できるかは不透明だ。
「荷物は増える一方で、ドライバーは増えない。何も変わってないのに、昼休憩を取れないなんて無理な話」
関西の営業所で働くSDの男性はあきれ顔だ。昼食は合間に車中でとることがほとんど。「絶対に1時間休憩を取れ。日中が無理なら配り終わってから取ればいい」と上司から言われるが、日中に取ったことにして申告しているという。
「今の荷物量で休憩を取れば、焦って事故の原因になり、サービスの質も落ちる。改革はかけ声だけなのかと思う」 30代の男性SDが働く北日本の支店では、残業を必ず記録し、1時間の昼休憩も必ず取るようになった。サービス残業はなくなったが、記録される残業時間は延び、一人が一定時間あたりに集配する荷物量は減った。上司から「生産性を上げろ」としつこく言われるようになったが、サービス残業が減った分、生産性が落ちたのだと思う。「生産性ばかりを追うのではなく、まずは長時間労働をなくせる態勢を整えるべきだ。このままでは、サービス残業があった昔に戻ってしまわないだろうか」

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る