26日 イチローの通算安打

東京新聞2017年7月24日21面:小川勝の直言タックル 23位歴史の中での価値 大きく報道されなかったが、米国時間の7月18日に、米大リーグ・マーリンズのイチロー選手はフィリーズ戦の8回、代打でヒットを打ち、米大リーグでの通算安打が3056本となって、通算安打のランキングで単独の23位となった。
23位というと、それほど上位には思えないかもしれないが、米大リーグというのは1876年から行われていて、イチロー選手より上位の中には19世紀にプレーした選手も2人いる。この点を考慮すると23位の意味が違って見えてくる。というのは、19世紀の野球は、20世紀以降とはルールが大きく違っていて、同じ条件下で比較できるものではないのである。例えば19世紀には、ファウルはストライクにカウントされていなかった。打者はファウルを打っている限り、カウントが不利になることはなかった。それだけ打者に有利なルールだったのである。
「ファウルは、2ストライクまではストライクにカウントされる」というルールになったのは、ナ・リーグが1901年、ア・リーグが03年のことだった。19世紀以降の記録を、同じ条件下で比較できないのは、このようなルール変更があったからである。したがって、同じルールでプレーした20世紀以降の選手に限定してみると、イチロー選手の3057本(22日時点)は、歴代21番目になる。イチロー選手のひとつ上は、アストロズの名二塁手だったクレイグ・ビジオ選手の3060本だから、これは今年中に上回ることになりそうだ。
このようなレベルになると、歴史的に見てどれくらい価値があるのか、なかなか理解できなくなってくる。ほかの打撃部門で、米大リーグの歴代23位というのがどれくらいの記録なのかをみてみると、本塁打の23位は512本で60年代のカブスの名遊撃手、アーニー・バンクス選手と、50年代に本塁打王2回のエディー・マシューズ選手が記録している。打点の23位は19世紀から20世紀にかけて首位打者を8回獲得したホーナス・ワグナー選手で、1732打点である。盗塁をみると、19世紀にプレーしたヒュー・ダフィー選手で574盗塁である。いずれも米大リーグの歴史のドキュメンタリーに出てくるような選手たちだ。イチロー選手はすでに、そのような選手たちと肩を並べながらプレーしているのである。(スポーツライター)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る