25日てんでんこ 皇室と震災Ⅱ【13】

朝日新聞2017年7月22日3面:「ひざまずく必要はない。同じ目線である必要もない」。江藤淳氏は批判した。
月刊誌「文芸春秋」1995年3月号に、文芸評論家・江藤淳氏の「皇室にあえて問う」という文が載った。阪神・淡路大震災にあたっての皇室の対応を批判したものだ。江藤氏は23(大正12)年の関東大震災の際、大正天皇の摂政官だった裕仁皇太子(のちの昭和天皇)が震災発生当日の9月1日は一睡もせず、翌2日には1千万円を政府に与えたことなどを紹介。「当時の皇室は、わずか三週間の間にまさに畳みかけるように次々と災害への対応をしておられる。・・・大災害にあっては天皇御自ら率先して国民を慰撫し、妃殿下方までが総動員で繃帯や着物まで縫う。・・・皇室の存在を示し、皇室は日本にとってなくてはならないものだという印象を国民に与えることが、いかに重要であるかを・・・十分に知っておられたのです」
江藤氏は、震災後の皇太子ご夫婦の中東訪問も批判する。江藤氏の本名は江頭敦夫。叔父は水俣病原因企業チッソの江頭豊・元社長で、その孫にあたるのが93年に皇太子さまと結婚した雅子さま。婚姻関係となった中で言及したことになる。ご夫婦が中東でベドウィンの踊りを鑑賞し、サッカーを観戦したことに触れ「見るべきはサッカーなのか。われわれ国民が皇室に見ていただきたいのは・・・神戸の被災者たちの姿なのです」と迫った。
さらに、「何もひざまずく必要はない。被災者と同じ目線である必要もない。・・・国民に愛されようとする必要も一切ない。・・・しかし国民に対する義務は果たしていただかねばなりまりません。・・・千年に一度という震災に遭遇し犠牲者の遺体がまだあちこちに埋まっているその最中に、・・・皇嗣が外国を歩いておられるとは何事であるのか」
「ひざまずく」のくだりは、91年に雲仙普賢岳の被災地を訪れた際、天皇、皇后両陛下がひざをついて被災者に声をかけたことに対し、江藤氏ら当時の保守派のなかに違和感をもった人がいたことを示している。
江藤氏の文章は震災発生10日目の1月26日のインタビューをまとめたとされる。両陛下の被災地訪問は翌27日に発表された。掲載誌の発売は31日に両陛下が被災地を訪れた後だった。江藤氏に対する宮内庁からの反論が、文芸春秋の翌4月号に載ることになる。(北野隆一)

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