25日 親の死 受け入れ急がずに

朝日新聞2017年8月22日27面:益田ミリさんエッセーに反響 「優しくすればよかった」/好物注文して「あ」!
本紙生活面の「オトナになった女子たちへ」で、イラストレーターの益田ミリさんが父の死についてつづったエッセー(6月23日付「父のいない 父に日」)に、たくさんの共感の声が寄せられました。父だけでなく「母のいない母の日」への思いをつづったお便りも。反響の一部をご紹介します。
エッセーでは、昨秋父を亡くした益田さんが、父の日が近づくある日の夕暮れ、父へのプレゼントや何げない日常のやりとりに思いをはせ、父の死に対する心情をつづっている。読者からは「私も同じ」「自分のことかと思った」などの声が寄せられた。
千葉県の阿部千晴さん(52)は、3年前に父を亡くした。平気な気がしたが、半年ほどたって父に似た後ろ姿をみつけて、涙が出た。エッセーの中の、お悔やみを言われた時の話が心に響いた。「いえいえ、もう大丈夫なんですよ」と笑ってみせた益田さん。でも後から、「大丈夫じゃないときに大丈夫と言って、自分の言葉に苦しめられた」と感じる。阿部さんは「自分もそうだったんだと気づかされました」。
2年がすぎた頃から、ようやく懐かしい、あったかい気持ちで父を思い出せるようになった。「いまは、心の中に父という新しい引き出しができて、開けると思い出が出てくる、という感じです」
エッセーを読んで、「自分の気持ちをはき出すように感想をメールで送りました」という福岡県の金城真由美さん(59)。昨秋、父を亡くした。頑固でよくケンカしたのに、亡くなった後は父の良いところしか思い出さない。自分は父に対してつっけんどんな態度だったこともある。「もっと優しくすればよかった」と思う日々だ。
車の運転や庭の草むしりの最中に、ふと、「お父さーん」と呼びかけていることがある。はっとして、涙がこぼれる。「早く笑って思い出せるようになりたい」
「今年初めて母のいない母の日を体験しました」という東京都の加藤直子さん(59)は昨年11月に母を亡くした。エッセーには、父にウォーキングシューズを送った思い出が紹介されている。「もう何も買ってあげられないのがつらい」。お見舞いにいくときは毎回、デパートでお土産を選んだ。外出できなくてもおしゃれを楽しむ母のために、化粧品や服も買っていた。
いまも時折、そんな日々が続いている気分がする。お正月の準備の際、母が好きだった食材を注文していたことに気付き、「あ!」と思ったという。あらためて母がもういないことを実感した。その後も、体に染みこんでいる母との習慣が、季節ごとに回ってくる。「そのたびに、『あ!』があって・・・」
大阪府の三杉陽子さん(49)は、エッセーを自分のことのように読んだという。昨年8月に母が亡くなった。「意外と大丈夫」と思っていたが、母の日が近づいてくると、心がざわっいた。直前に花屋に飛び込んで、仏壇に供える花を実家に送った。「毎日、悲しく暮らしているわけではありません。それでも『もういないんだ』とはっきり自覚させられる時は、つらいですね」
「現実逃避しています」という香川県の三宅奈津子さん(52)は2年前に父を亡くした。死を認めたくなくて、父の話はしません。「大変だったね」と人から声をかけれらても、素直に「悲しい」と言えず、さらっと流してしまう。仕事で訪問医療に携わり、人の生死に日常的にかかわっている。それなのに、いつまでも父の死を直視できない自分に、「それでいいような、よくないような、複雑な気持ち」が続いている。
エッセーの中の「父がいない世界を、わたしは、わたしの時間配分で受け入れていきたかった。そもそも急ぐ必要がないのである」という言葉に、心が軽くなった。「これで、いいんですね」(田中聡子)

 

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